
(引用元:ESA/Hubble)
今回紹介するのは、ESA/Hubbleから1994年6月13日付で公開された、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「オリオン大星雲」(M42)の一部の画像です。オリオン大星雲の一角を捉えたこの画像には、5つの小さな天体のようなものが写っています。これらは一体、何なのでしょうか?

実はこれら5つの天体は、いずれも誕生して間もない若い星です。そのうち4つは、ガスと塵(ダスト)からなる円盤状の構造に包まれています。
この円盤状の構造は「プロプリッド(proplyd)」と呼ばれる原始惑星系円盤です。若い恒星のまわりに広がるガスと塵の集まりで、将来的にそこから惑星が形成される可能性があります。私たちの太陽系も約46億年前には、このような円盤から生まれたと考えられており、プロプリッドは“惑星系のゆりかご”ともいえる存在です。
プロプリッドは、1992年のハッブル宇宙望遠鏡の観測で初めて発見され、ライス大学のC. Robert O’Dell氏らによって詳しく研究されました。その後の観測では、オリオン大星雲にある110個の若い星のうち少なくとも56個に円盤が確認され、惑星形成の材料となる円盤が天の川銀河に広く存在することを裏づける有力な証拠となりました。さらに、観測された円盤の質量は地球質量の0.1倍から730倍程度と見積もられており、少なくとも一部には惑星系形成に必要なだけの物質が含まれている可能性があります。
こうしたプロプリッドが観測できるのは、オリオン大星雲の中にある高温の大質量星が放つ強い紫外線に照らされているためです。その影響で円盤の周囲のガスが光り、一部は明るい星雲を背景にシルエットとして浮かび上がって見えます。
この発見から30年以上が経ち、観測技術は大きく進歩しました。2025年にはアルマ望遠鏡(ALMA)が、オリオン大星雲のプロプリッドから水素とヘリウムの電波再結合線を初めて検出しています。これにより、密集した星形成領域にあるプロプリッドの電離ガスを、電波でも詳しく調べられることが示されました。
また、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による近年の赤外線分光観測からは、ハッブルが見つけたプロプリッドの一部の中心天体が褐色矮星であることもわかってきました。恒星だけでなく、褐色矮星の周囲にも原始惑星系円盤が存在することは、惑星形成がこれまで考えられていた以上に多様な環境で起きうることを物語っています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- O'Dell, C.R. & Wen, Z., "Postrefurbishment mission Hubble Space Telescope images of the core of the Orion Nebula: Proplyds, Herbig-Haro objects, and measurements of a circumstellar disk", ApJ, 436, 194 (1994)
- Luhman, K. et al., "JWST/NIRSpec Observations of Brown Dwarfs in the Orion Nebula Cluster", ApJ, 975, 162 (2024) https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ad7b19
Boyden, R. et al., "Discovery of Radio Recombination Lines from Proplyds in the Orion Nebula", ApJ (2025) - ALMA Observatory - ALMA Reveals Hydrogen Glow Around Planet-Forming Disks in Orion










