
(引用元:ESA/Hubble)
こちらはハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ(ACS)が撮影した、「いて座」の方向約4000〜5000光年先に位置する輝線星雲「干潟星雲(M8)」の中心付近をクローズアップした疑似カラー画像です。水素の輝線(Hα)を赤、電離窒素(NII)を緑、可視光(550nm)を青にそれぞれ割り当てて着色されています。

北半球の中緯度から肉眼でも見つけやすい代表的な輝線星雲としては、冬の夜空を飾る「オリオン大星雲(M42)」と、夏の夜空に浮かぶこの「干潟星雲(M8)」がよく知られています。どちらも、内部で生まれたばかりの若い大質量星が放つ紫外線によって周囲のガスが電離し、自ら光を放つ「星の誕生現場(星のゆりかご)」です。
広がりを比べてみると、オリオン大星雲が約24光年規模とされるのに対し、干潟星雲は長径で100光年以上、資料によっては約140光年級に達する巨大な星雲です。
今回紹介した画像に写っているのは、その巨大な星雲のごく一部にすぎません。干潟星雲の中心部には大質量の若い星々が密集しています。それらが放つ強烈な紫外線は、周囲のガスや塵をまるで彫刻のように削り出しています。画像に見える柱状の構造や渦巻くような形は、まさにその激しい浸食の痕跡といえます。「干潟(Lagoon)」という穏やかな名前とは裏腹に、内部では周囲の物質を吹き飛ばすほどの高エネルギー活動が繰り広げられているのです。

編集/sorae編集部










