
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
2026年は「午(うま)年」。宇宙にも“馬”の姿をした有名な天体があります。オリオン座に浮かぶ暗黒星雲「馬頭星雲(Horsehead Nebula)」です。天体写真の定番として知られますが、どの波長で見るかによって見え方は大きく変わります。

今回は、複数の望遠鏡が異なる波長帯で捉えた馬頭星雲の画像を見比べて紹介します。可視光では黒いシルエットとして際立ち、赤外線では塵(ちり)の奥が透けて、ガスの繊細な構造が浮かび上がります。
ユークリッドが撮影した馬頭星雲

ESAの「ユークリッド宇宙望遠鏡」が捉えた馬頭星雲と、その周辺の様子です。馬頭星雲が暗く見えるのは、背後の明るいガス雲の光を、濃いガスと塵が遮っているためです。
この画像は、ユークリッドの可視光観測装置「VIS」と、近赤外線分光光度計「NISP」で取得したデータをもとに作成されました。ユークリッドは可視光だけでなく、人の目では捉えられない赤外線の波長でも観測を行うため、画像の色は取得した波長帯に応じて着色されています。
ハッブルが撮影した馬頭星雲

NASA/ESAの「ハッブル宇宙望遠鏡」が捉えた、馬頭星雲の赤外線画像です。可視光では黒いシルエットとして目立つ馬頭星雲も、赤外線で見ると塵の奥が透けやすくなり、ガスの層や縁の繊細な構造がよりはっきりと現れます。
この画像は、ハッブルの「広視野カメラ3(WFC3)」の赤外線チャンネル(WFC3/IR)で取得したデータをもとに作成されました。観測では複数の赤外線フィルターが使われており、画像の色はそれぞれの波長帯に合わせて着色されています。
超大型望遠鏡(VLT)が撮影した馬頭星雲

ESOの超大型望遠鏡(VLT)が捉えた、馬頭星雲の可視光画像です。赤く明るい背景は発光星雲(IC 434)の光で、そこに濃いガスと塵が重なっているため、馬頭星雲は“影”のような黒いシルエットとして浮かび上がります。
この画像は、地上望遠鏡ならではの高解像度で、馬頭星雲の縁の筋(フィラメント)構造や、ガスと塵が入り組んだ複雑な構造まで写し出しています。可視光で見る馬頭星雲は、私たちがよく知る馬頭星雲の「定番の姿」かもしれません。
スピッツァーが撮影した馬頭星雲

NASAの「スピッツァー宇宙望遠鏡」が捉えた、馬頭星雲周辺の赤外線画像です。馬頭星雲は画像の右側(右端付近)に淡く写っており、可視光で目立つ黒いシルエットは赤外線では印象が弱まります。赤外線は塵を透過しやすいため、代わりに周囲の星形成領域の構造が強調されて見えます。
画像の中心付近を占めるのは「NGC 2024(火炎星雲、炎星雲)」で、炎星雲と馬頭星雲の間には「NGC 2023」も写っています。波長を変えて見比べると、馬頭星雲がオリオン座の分子雲複合体の一部であることが実感できます。
※…画像の一部はNASAのWISEのデータで補われています。
同じ馬頭星雲でも、可視光ではくっきりした「影」として、赤外線ではガスの「奥行き」として姿を変えて見えてきます。解像度の高い観測では、縁に走る細い筋や揺らぎまで分かるのも面白いところです。見慣れた天体ほど、波長を変えて見比べると新しい表情に出会えますね。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESA - Euclid’s view of the Horsehead Nebula
- ESA/Hubble - New infrared view of the Horsehead Nebula — Hubble’s 23rd anniversary image
- ESO - VLT Images the Horsehead Nebula
- NASA - Horsehead Nebula Disappears in Infrared Light























