ハッブル宇宙望遠鏡がスペースシャトル「ディスカバリー号」に搭載されて宇宙へ打ち上げられたのは、1990年4月24日のことです。もうすぐ23周年を迎えるのを記念して、ハッブルが近赤外線で撮影した馬頭星雲の画像が公開されました。
馬頭星雲はオリオン座の方向約1500光年の距離にあり、可視光で撮影すると赤い星雲を背景に馬の首のような黒い影が浮かび上がることから、その名が付けられました。黒く見えるのは、何もないからではなく、逆にガスと塵が周囲よりも濃く集まっていて、奥の光を遮っているためです。このように、可視光では黒く見える星雲は「暗黒星雲」と総称されています。
ハッブルの画像は、星雲自体が発する近赤外線をとらえており、透明感と立体感があります。星雲の上部は画面外に輝いている星々からの光を浴びて輝いています。星が発する強力な紫外線は、星雲を少しずつ散失させており、馬頭星雲も本来はもっと大きかったものが、少しずつ削られて現在の形ができたと考えられています。500万年もすれば、馬頭星雲自体も消えてしまうと予測されています。
23年間で、ハッブル宇宙望遠鏡は地球を約12万6千回周回しており、総飛行距離はおよそ50億キロメートルで、これは太陽から海王星までの平均距離に匹敵します。これまでに3万6000個以上の天体を対象に、100万回以上の観測が行われており、現在も毎月1テラバイト以上のデータが蓄積されています。
Source
- Image Credit: NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)
- Hubble - Release 2013.12
編集/sorae編集部