
(引用元:ESO)
今回紹介するのは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)が2010年10月20日に公開した、初期宇宙の「再電離」の過程を再現したシミュレーション画像です。
約138億年前のビッグバンの直後、宇宙は超高温のプラズマで満たされていたと考えられています。そして宇宙誕生から約38万年が経過して温度が十分に下がると、電子と陽子が結びついて中性の水素原子が生まれ、光がまっすぐ進めるようになりました。これが「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれる出来事です。

しかし、宇宙の晴れ上がり後、宇宙には中性水素のガスが広がり、光を発する天体がまだ存在しない「暗黒時代」に入りました。この暗い時代が終わりを迎えたのは、宇宙誕生から約1.5億~8億年後にかけてのことです。最初の星や銀河が誕生し、それらが放つ強い紫外線が周囲の中性水素を再び電離していきました。この過程が「宇宙の再電離」と呼ばれています。
画像では、すでに電離された空間が青く半透明に、電離が広がっていく境界面が赤や白に、まだ中性水素の霧に覆われたままの空間が暗く不透明に表現されています。最初は小さな泡のように銀河の周囲から始まった電離領域が、やがて泡同士がつながり、宇宙全体が透明になっていく様子がわかります。
【▲ 動画: 宇宙の再電離の過程を再現したシミュレーション(Credit: M. Alvarez, R. Kaehler, and T. Abel)】
この画像(および動画)が公開されたきっかけは、ヨーロッパの研究チームがESOのVLT(超大型望遠鏡)に搭載された分光装置「SINFONI」を用いて、当時最も遠い銀河とされた「UDFy-38135539」の距離を確認した研究結果(※)によるものです。宇宙誕生からわずか数億年後の時代に存在した銀河を分析した結果、UDFy-38135539が単独で放つ光だけでは周囲の水素の霧を晴らすには足りず、近くにあったと考えられる、より暗く小さな銀河たちと共同で周囲の空間を透明にしていたと推定されました。
宇宙の霧を晴らしたのは、1つの銀河の力ではなく、たくさんの銀河による共同作業だったということです。
※…2010年の発表当時、UDFy-38135539は分光観測によって距離が確定された最も遠い銀河とされていました。しかし、その後の追試観測では赤方偏移8.55を裏付けるLyα輝線が確認されず、現在では当時の距離確定には疑問が投げかけられています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESO - Galaxies during the era of reionisation in the early Universe (simulation) (eso1041a)
- ESO - The Most Distant Galaxy Ever Measured (eso1041)
- ESO - The era of reionisation (simulation)
- Lehnert, M. D. et al. 2010, "Spectroscopic confirmation of a galaxy at redshift z = 8.6", Nature 467, 940–942
- Alvarez, M. A. et al. 2009, "Connecting Reionization to the Local Universe", ApJ 703, L167–L171










