アメリカ航空宇宙局(NASA)は8月30日、火星探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー(MSL)=キュリオシティ」によって撮影された、火星の日食の画像を公開した。

この画像は8月17日に「キュリオシティ」によって撮影されたもので、火星の衛星であるフォボスによる金環日食が鮮明に捉えられている。この天体イベントのため、科学チームは軌道を精密に計算し、「キュリオシティ」の走行を止めて撮影を行ったという。

火星にはフォボスとデイモスの2つの月(衛星)が存在しているが、内側で周回している大きい方がフォボス、外側で周回している小さい方がデイモスである。

フォボスの最も長い部分の直径が約27kmしかないため、火星の重力に捕捉された小惑星だと考えられている。また、フォボスは太陽系で最も主星に近い月で、火星に表面からわずか6000kmで周回している。そのため、フォボスは潮汐力によって常に火星の方に引っ張られていて、5000万年以内に破砕されて火星の輪になるか、火星表面に激突すると考えられている。

一方、デイモスは直径約12kmの小さな月で、フォボスと同じく、火星の重力に捕捉されたと考えられている。表面はレゴリスに覆われているが、密度が小さいことから、氷も含んでいると考えられている。

 

Source

  • NASA - Annular Eclipse of the Sun by Phobos, as Seen by Curiosity