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地球には直径1mくらいの小惑星が、2週間に1回程度の頻度で落下していると推定されています。しかしそのほとんどは火球として観測されるだけであり、落下前に宇宙空間で発見されることは稀です。

世界時2026年9月6日、推定直径0.6~1.3mの小惑星「2026 RW1」(発見時の暫定名CERNQ52)が見つかり、7時間半後にインド洋東部に落下するまで追跡されました。2026 RW1は、落下前に発見された13例目の小惑星となります。落下地点は陸地から遠く離れた海でしたが、780km離れたオーストラリアで火球の撮影に成功しています。

火球は稀に予告されることがある

図1: 地球外から落下する天体は、その発見状況によって分類が変化します。上空100kmより上で見つかれば小惑星、大気圏落下中の発光は流星や火球、地上で破片が見つかれば隕石と呼ばれます。(Credit: 島宮七月)
【▲ 図1: 地球外から落下する天体は、その発見状況によって分類が変化します。上空100kmより上で見つかれば小惑星、大気圏落下中の発光は流星や火球、地上で破片が見つかれば隕石と呼ばれます。(Credit: 島宮七月)】

皆さんは「小惑星」と「流星(火球)」と「隕石」の違いをご存知でしょうか? 混同されがちですが、実はきちんとした違いがあります。

「流星」とは、宇宙から地球の大気圏内に物体が突入し、光り輝く現象です。流星の中でも、特に明るいものは「火球」と呼ばれます。そして、地球外の物体の破片が地面に転がっているものが採集されれば、それは「隕石」と呼ばれます。流星や火球を隕石と呼んでしまうことがありますが、厳密に言えばこれは誤用です。

そして、流星や隕石の素となる天然の天体が、地球に落下する前に宇宙空間(上空100kmより上)で見つかった場合、それは「小惑星」と呼ばれます。それぞれに定義があるため、場合によっては、落下前に発見される小惑星というケースが考えられます。このようなケースは、2008年を初報告とし、これまでに12例が報告されています。

現在の観測技術では、発見可能な小惑星の大きさの下限は約1mであり、このサイズの小惑星は2週間に1回程度の頻度で地球に落下していると推定されています。とはいえ、現在でも落下前の小惑星の発見事例は稀です。これほど小さい小惑星は、日中はもちろん、朝夕の薄明も観測の邪魔となるため、観測可能な時間が限られます。また、観測精度の高い天文台の地理的分布に偏りがあるなど、様々な事情が見逃しの元となります。

これらの不確定要素があるため、概ね最近になるほど発見頻度が高くなる傾向にはあるものの、それでも偏りがあります。例えば2024年の1年間には4個の発見事例がありましたが、2025年には1個も発見できなかったため、次の「2026 JN4」まで1年半ほど観測期間が空いたこともあります。

780km先で「2026 RW1」の落下の観測に成功!

図2: 2026 RW1の公転軌道(赤色)。(Credit: ESA)
【▲ 図2: 2026 RW1の公転軌道(赤色)。(Credit: ESA)】

2026年9月6日8時45分、後に「2026 RW1」と名付けられることになる小惑星が発見され、約7時間半後に地球へと落下しました。2026 RW1は落下前に発見された小惑星の13例目となります。なお、2年前に「2024 RW1」という小惑星が落下前に観測されていますが、この名前(仮符号)は機械的に付けられるものであるため、似ているのは偶然です。

2026 RW1の発見を初めて報告したのは、アメリカ・アリゾナ州のサンタ・カタリーナ山地に設置された「レモン山天文台」で実施されている小惑星探査サーベイ「レモン山サーベイ」です。欧州宇宙機関(ESA)の衝突危険警告システム「ミーアキャット(Meerkat)」が衝突可能性ゼロではないことを報告したため、レモン山天文台を含め世界中の7箇所の観測所が2026 RW1を観測しました(うち1箇所は、初報告前の観測データを事後報告しています)。

図3: 2026 RW1の落下予想地点。最寄りの陸地は数百km離れており、海に落下したことが分かります。(Credit: ESA)
【▲ 図3: 2026 RW1の落下予想地点。最寄りの陸地は数百km離れており、海に落下したことが分かります。(Credit: ESA)】

観測回数が多かったため、2026 RW1の落下場所はかなり正確に予測されました。落下場所は南緯13.77度・東経116.43度付近、オーストラリア大陸と小スンダ列島の間のインド洋に、かなり垂直に近い角度で落下すると推定されました。

推定直径0.6~1.3mの2026 RW1が落下すれば、確実に火球となるはずです。しかし落下場所は海であり、主要な都市があるバリ島でも500kmは離れています。しかも当時のバリ島周辺は曇っており、観測は期待できませんでした。

次に近いオーストラリア北西部周辺は晴れていたものの、落下予想地点から780kmとさらに離れています。火球は上空数十kmで輝き始めるとはいえ、これほど離れていると水平線の下に隠れてしまう懸念がありました。

しかしそれでも、写真家のRichard Young氏と天文学者のHadrien Devillepoix氏が協力し、水平線からたった1度上にある火球を撮影することに成功しました。ここでは直接提示はできないため、写真があるリンク先を提示します。

余談ですが、今回の火球撮影の試みの中で、偶然にも無関係な火球が写り込むというハプニングがありました。予想落下時間より20分早く、方向も大違いだったために見分けられましたが、この出来事は、天体が意外と多く落下していることの傍証と言えるかもしれません。

ひとことコメント

今回のケースは、火球が海の真ん中に落ちるようなものであっても観測チャンスがあることを示唆しているのよ(筆者)

 

文/彩恵りり 編集/sorae編集部

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参考文献・出典