巨大なブラックホールが吹かせる“風” ヨーロッパ南天天文台の望遠鏡が観測

こちらの画像、背景は「ケンタウルス座」の方向約1200万光年先の渦巻銀河「NGC 4945」です。ラ・シヤ天文台(チリ)にある「MPG/ESO 2.2m望遠鏡」の観測データを使って作成されました。地球からは真横に近い角度で見えるNGC 4945は、塵(ダスト)の豊富なガスの暗い雲が目立ちます。

ESOの「MPG/ESO 2.2m望遠鏡」(ラ・シヤ天文台)で観測された渦巻銀河「NGC 4945」(背景画像)と、「VLT=超大型望遠鏡」(パラナル天文台)の広視野面分光観測装置「MUSE」で観測された物質の流れ(拡大画像)(Credit: ESO/C. Marconcini et al.)
【▲ ESOの「MPG/ESO 2.2m望遠鏡」(ラ・シヤ天文台)で観測された渦巻銀河「NGC 4945」(背景画像)と、「VLT=超大型望遠鏡」(パラナル天文台)の広視野面分光観測装置「MUSE」で観測された物質の流れ(拡大画像)(Credit: ESO/C. Marconcini et al.)】

ブラックホールが吹かせる銀河の“風”をVLT=超大型望遠鏡が観測

そんなNGC 4945の中央部分を拡大した右側の画像、中心から右上に向かって2本の赤い構造がツノのように伸びているのがわかりますでしょうか。

これはESO=ヨーロッパ南天天文台のパラナル天文台(チリ)にある望遠鏡「VLT(Very Large Telescope=超大型望遠鏡)」の広視野面分光観測装置「MUSE」で観測されたもので、NGC 4945の中心にある超大質量ブラックホールが流出させた円錐状の物質の流れを捉えたものになります。

ESOによると、VLTのMUSEを用いたNGC 4945の観測は、天の川銀河の近傍にあるいくつかの銀河における“風”の動きを測定した最近の研究の一環として実施されました。不思議なことに、非常に高速で移動するこれらの“風”は、銀河中心の超大質量ブラックホールから離れるにしたがってむしろ加速していくことがMUSEの観測で示されたといいます。

ESOの「VLT=超大型望遠鏡」(パラナル天文台)の広視野面分光観測装置「MUSE」で観測された渦巻銀河「NGC 4945」中央部分からの物質の流れ(赤色)(Credit: ESO/C. Marconcini et al.)
【▲ ESOの「VLT=超大型望遠鏡」(パラナル天文台)の広視野面分光観測装置「MUSE」で観測された渦巻銀河「NGC 4945」中央部分からの物質の流れ(赤色)(Credit: ESO/C. Marconcini et al.)】

星はガスや塵を材料にして形成されます。新たな星の材料を銀河から吹き飛ばしてしまうこのプロセスは、ブラックホールが自身の宿る銀河の運命を左右し、星の形成率を抑制している可能性を示唆するものとなります。また、ガスや塵はブラックホールが成長するためにも必要です。より強力なブラックホールほど物質を吹き飛ばして自己の成長をさまたげることで、銀河全体を一種の平衡状態に近づけていることも示唆されるということです。

冒頭の画像はESOの“今週の画像”として2025年3月31日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典

  • ESO - Supermassive black hole caught playing with its food