2024年5月の星空情報 5日~6日は「みずがめ座η(エータ)流星群」を見よう

5月、暦のうえでの夏のはじまり「立夏」を迎え、新緑の中を爽やかな風が吹き抜ける季節となりました。
冬の間、星空で良い目印になっていた冬の大三角は西の地平線に沈んでいきましたが、春の空にも“空の道しるべ”があります。それは「春の大曲線」です。

まずは北の空で北斗七星を探してください。北斗七星は7つの星からなるひしゃくの形で、春の星座「おおぐま座」の体の一部に当たります。

ひしゃくの水をすくう側の端にある星を2つ結び、北の空へ5倍延ばすと北極星が見つかります。北極星は「こぐま座」のしっぽの星です。

ひしゃくの柄の部分は、緩やかなカーブになっています。このカーブをそのまま伸ばしていくと、「うしかい座」の1等星アークトゥルス、「おとめ座」の1等星スピカに結ばれます。

アークトゥルスは-0.05等級と恒星の中でも3番目の明るさ(※1)で、はっきり分かるオレンジ色です。スピカは0.97等級と1等星の中ではやや暗めですが、表面温度は2万℃を超えるほどの高温の星で、青白い色をしています。この2つの星は1対で「春の夫婦(めおと)星」と呼ばれることがあります。

さらにカーブを伸ばしていくと、終点には歪んだ四角い星の並びがあります。これは「からす座」です。からすの羽は黒いため夜空では見えず、からすを空に留めつけている星のピンだけが輝いているといわれています。

北斗七星からうしかい座のアークトゥルス、おとめ座のスピカ、からす座までをつないでできる、この大きなカーブが「春の大曲線」です(※2)

春の星空の南北を覆うように延びる春の大曲線を眺めていると、心まで伸びやかに広がっていくようです。夜の散歩が楽しい時期、ぜひ本当の星空を見上げてみてください。

【▲ 2024年5月中旬 21時頃の東京の星空(Credit: 国立天文台)】
【▲ 2024年5月中旬 21時頃の東京の星空(Credit: 国立天文台)】

※1…単独の恒星としての明るさです。
※2…スピカを春の大曲線の終点とする場合もあります。

みずがめ座η流星群

2024年5月6日未明に「みずがめ座η(エータ)流星群」(※3)が極大を迎えます。
みずがめ座η流星群は4月19日~5月28日頃に見られる流星群で、母天体(※4)はハレー彗星です。

みずがめ座のη星はみずがめ座の水瓶に当たる星です。このη星の近くに放射点(※5)があるため、みずがめ座η流星群という名前がつけられています。
みずがめ座η流星群は12年周期で活動が活発化する傾向にある流星群です。今年は出現数が多い年に当たり、ピークである5月6日未明には1時間に5~10個程度の流れ星が見られると予想されています。

2024年に見られる流星群の中では三大流星群(ふたご座流星群、ペルセウス座流星群、しぶんぎ座流星群)に次いで出現数が多く、月明かりの影響も少ないため、条件は非常に良いといえるでしょう。

観測におすすめの日時は5月5日~6日の午前2時~3時頃です。ゴールデンウイークの後半、深夜の星空で流星群を探してみてはいかがでしょうか。

【▲ みずがめ座η(エータ)流星群が極大(2024年5月)(Credit: 国立天文台)】
【▲ みずがめ座η(エータ)流星群が極大(2024年5月)(Credit: 国立天文台)】

※3…ηは「イータ」と読む場合もあります。
※4…母天体:流星群の元となる物質を放出する天体。彗星、小惑星が多い。
※5…放射点:放射点:流星が放射状に飛び出す中心の1点。流星群の名称は、放射点のある星座の名からつけられているものが多い。

 

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文/sorae編集部