こちらは「へび座(蛇座)」の方向約1億6000万光年先の相互作用銀河「Arp 72」です。相互作用銀河とは、すれ違ったり衝突したりすることで重力の影響を及ぼし合っている複数の銀河を指す言葉です。相互作用銀河のなかには潮汐力によって形が大きくゆがんだり、渦巻腕(渦状腕)が長い尾のように伸びていたりするものもあります。

【▲ 相互作用銀河「Arp 72」。銀河の名前は中央が「NGC 5996」、左下が「NGC 5994」(Credit: ESA/Hubble & NASA, L. Galbany, J. Dalcanton, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA)】
【▲ 相互作用銀河「Arp 72」。銀河の名前は中央が「NGC 5996」、左下が「NGC 5994」(Credit: ESA/Hubble & NASA, L. Galbany, J. Dalcanton, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA)】

Arp 72を構成する2つの銀河のうち、画像中央の大きな渦巻銀河は「NGC 5996」、左下の小さな銀河は「NGC 5994」と呼ばれています。欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 5996の大きさは円盤部の直径が約10万光年とされる天の川銀河にほぼ匹敵しますが、2つの銀河は中心どうしの間隔が約6万7000光年、銀河間の間隔は最小で約4万光年近くしか離れていないといいます。相互作用によってNGC 5996は形がゆがみ、渦巻腕の1本がNGC 5994の方向へ引き伸ばされているように見えますし、画像の右側から上側にかけて星とガスの淡い尾のような構造も形成されていることがわかります。

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この画像の作成には「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得されたデータが用いられています。ハッブル宇宙望遠鏡による近年のArp 72の観測は、「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」やハッブル宇宙望遠鏡自身による将来の詳細な観測の対象になり得る銀河を探す取り組みの一環として2022年1月に実施されたということです。

また、画像の作成にはハッブル宇宙望遠鏡のACSだけでなく、セロ・トロロ汎米天文台のブランコ4m望遠鏡に設置されている「ダークエネルギーカメラ(Dark Energy Camera: DECam)」による光学観測データも使用されています。DECamはその名が示すように暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置で、当初の目的である暗黒エネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。

冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2024年4月1日付で公開されています。

 

Source

文・編集/sorae編集部

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