火星・北半球のアキダリア平原にある「木の年輪」を思わせるクレーター(Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS)

【▲ 火星・北半球のアキダリア平原にある「木の年輪」を思わせるクレーター(Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS)】

こちらは火星の北半球、アキダリア平原にあるクレーターのひとつを火星の周回軌道上から捉えた画像(疑似カラー)です。画像の左下に記されたスケールバーは1kmの長さを示しています。北緯52度付近にあるこのクレーターは内部が幾重にもひび割れていて、木の切り株を撮影した写真かのようです。

画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、クレーターの内部を満たす堆積物は水の氷を豊富に含んでいるかもしれないといいます。木の年輪を思わせるひび割れのパターンは、季節的な温度変化によって氷が膨張・収縮を繰り返したために生じた可能性があるようです。

火星は地球と同じように自転軸が傾いている(※)ので季節の変化がありますが、長い目で見ると自転軸の傾きは地球よりも大幅に変化してきたとみられています。ESAによれば、クレーター内の堆積物は初期の火星で自転軸の傾きが変化し、より低緯度の地域でも水の氷を含む堆積物が形成されやすくなった時期に堆積したものと考えられています。

※…現在の自転軸の傾きは地球が約23.4度、火星が約25.2度

画像は欧州およびロシア共同の火星探査ミッション「エクソマーズ」の周回探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」に搭載されている光学観測装置「CaSSIS」を使って2021年6月13日に撮影されたもので、ESAから「Crater tree rings」のタイトルで2022年1月28日付で公開されています。

なお、ESAとロスコスモスではエクソマーズミッション2度目の探査機打ち上げを2022年9月に計画しており、定点観測を担う地表プラットフォームの「カザチョク」と探査車(ローバー)の「ロザリンド・フランクリン」が2023年6月に火星へ着陸する予定です。

探査車「ロザリンド・フランクリン」(手前)と地表プラットフォーム「カザチョク」(左奥)を描いた想像図(Credit: ESA/ATG medialab)

【▲ 探査車「ロザリンド・フランクリン」(手前)と地表プラットフォーム「カザチョク」(左奥)を描いた想像図(Credit: ESA/ATG medialab)】

 

 

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Image Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS
Source: ESA
文/松村武宏