ダークエネルギーカメラが撮影、優美に渦巻く南天“ろ座”の棒渦巻銀河
棒渦巻銀河「NGC 1365」(Credit: Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA, Image processing: Travis Rector (University of Alaska Anchorage/NSF's NOIRLab), Jen Miller (Gemini Observatory/NSF's NOIRLab), Mahdi Zamani & Davide de Martin (NSF's NOIRLab))
【▲ 「NGC 1365」(Credit: Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA, Image processing: Travis Rector (University of Alaska Anchorage/NSF's NOIRLab), Jen Miller (Gemini Observatory/NSF's NOIRLab), Mahdi Zamani & Davide de Martin (NSF's NOIRLab))】

こちらは「ろ座」(炉座)の方向およそ5600万光年先にある「NGC 1365」です。とは、中心部分に棒状の構造が存在するのこと。全体のうち約3分の2を占めると言われていて、私たちが住む天の川銀河も棒に分類されています。

画像には、棒状構造の両端から渦巻腕が伸びるNGC 1365の見事な姿が捉えられています。若い星々の存在を示す青い光に満ちた渦巻腕には電離した水素が放つ光で赤く輝くHII領域が点在しており、黄みがかった明るい中心部分とのコントラストもまた美しさを感じさせます。

米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、NGC 1365の棒状構造は銀河全体の星形成活動に影響を与え、新たに形成された多数の星々の背後には超大質量ブラックホールが隠されているとみられています。NGC 1365のような棒渦巻銀河を観測することで、天の川銀河を理解する上での手がかりが得られるといいます。

冒頭の画像は、チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」による観測データをもとに作成されました。ダークエネルギーカメラは満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影できる巨大なデジタルカメラ(画素数約520メガピクセル)のような観測装置で、その名の通りダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発されました。2013年から2019年にかけて実施されたダークエネルギー研究のための観測後も、ダークエネルギーカメラの運用は続いています。

また、NGC 1365はダークエネルギーカメラだけでなく宇宙望遠鏡などによっても撮影されています。が撮影したNGC 1365の中心付近の画像には、塵の豊富な領域が渦巻く様子が捉えられています。

関連:特徴的な銀河の渦巻く中心付近、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

冒頭の画像はNOIRLabの今週の一枚「Portrait of the Great Barred Spiral」として、2021年7月7日付で公開されています。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したNGC 1365の中心付近(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Lee and the PHANGS-HST Team)
【▲ 宇宙望遠鏡が撮影したNGC 1365の中心付近(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Lee and the PHANGS-HST Team)】

 

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Image Credit: Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA
Image processing: Travis Rector (University of Alaska Anchorage/NSF's NOIRLab), Jen Miller (Gemini Observatory/NSF's NOIRLab), Mahdi Zamani & Davide de Martin (NSF's NOIRLab)
Source: NOIRLab
文/松村武宏