こちらは「はと座」の方向およそ4万光年先にある球状星団「NGC 1851」です。見かけの等級は7.3等で、双眼鏡でも観察することができる星団です。
「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」によって可視光線と紫外線の波長で観測されたNGC 1851には、無数の白い星々とともに散りばめられたような赤や青の星々が写っており、冬を彩るイルミネーションのような美しさを感じさせます。
多くの星団に存在する星々の年齢はほぼ揃っていて、星団の星々が同時期に形成されたことを物語っています。しかしNGC 1851を観測したところ、別々の時期に形成されたとみられる異なる世代の星々が存在している結果が得られたといいます。
その理由はまだわかっていませんが、アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、NGC 1851はかつて存在していた矮小銀河のなかで衝突・合体した2つの星団に由来するという仮説が提唱されています。矮小銀河はより大きな銀河との相互作用によって破壊されてしまい、その後にNGC 1851が残された可能性があるようです。
NGC 1851は、イギリスのアマチュア天文家サー・パトリック・ムーア氏によって1980年代にまとめられたアマチュア天文家向けの天体カタログ「Caldwell Catalog」(カルドウェルカタログ、またはコールドウェルカタログ)に「Caldwell 73」として登録されています。冒頭の画像はNASAから2020年8月20日付で公開されたものです。
Image Credit: NASA, ESA, and G. Piotto (Università degli Studi di Padova); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)
Source: NASA
文/松村武宏
Last Updated on 2024/09/27