炎が吹き出ているようなアーチ構造をもつ渦巻銀河「M106」
渦巻銀河「M106」(Credit: ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA), and R. Gendler (for the Hubble Heritage Team))

こちらの天体は「りょうけん座」の方向およそ2000万光年先にある渦巻銀河「M106」(NGC 4258)です。画像には中心部分の幅およそ6万光年の範囲が捉えられており、ここには太陽の3900万倍の質量がある超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。

中心部分の明るいバルジやその周囲を取り巻く青白い渦巻腕は渦巻銀河ならではの特徴ですが、M106では燃え盛る炎が吹き出ているような構造が確認できます。銀河の渦巻腕が星々の集まりであるのに対し、この赤いアーチ形の構造は高温のガスでできているとみられています。

研究者は、M106に存在するとされる超大質量ブラックホールは銀河円盤に対して傾いた方向にジェットを噴出しており、円盤を通過するジェットの衝撃波が水素ガスを加熱していると考えています。ブラックホールの活動により、M106の円盤からは3億年以内にガスが失われると推定されています。

画像は2013年2月5日に公開されたもので、「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」「広視野カメラ3(WFC3)」、それに以前搭載されていた「広域惑星カメラ2(WFPC2)」によって撮影された画像をもとに、地上からの観測による色情報を追加したアマチュア天文学者のRobert Gendler氏Jay GaBany氏によって作成されています。

 

Image Credit: ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA), and R. Gendler (for the Hubble Heritage Team)
Source: ESA/Hubble / chandra.harvard.edu
文/松村武宏