国立天文台の4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」にて再現されたガニメデ(右)と木星(左奥)。ガニメデ表面の暗い領域には平行に何本も走る溝状の地形「ファロウ」が見えている(Credit: 加藤恒彦、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト)

平田直之氏(神戸大学)らの研究グループは、惑星探査機「ボイジャー」1号・2号や木星探査機「ガリレオ」によって撮影された木星の衛星ガニメデの画像を分析した結果、直径およそ300kmの天体が衝突したことで生じたとみられる太陽系最大規模の巨大な衝突クレーターが見つかったと発表しました。

■衝突によって形成された多重リング構造の直径は最大1万5600km

ガニメデは火星に次ぐ5268kmの直径を持つ水星よりも大きな衛星で、その表面は比較的新しく明るい領域と古く暗い領域に分かれています。暗い領域にある「ファロウ(Furrow)と呼ばれる溝状の地形に注目した研究グループがその分布状況を分析したところ、ガニメデ表面のある一点を中心に同心円状に分布していることが判明しました。このような分布は、ファロウが天体衝突によって形成された巨大な多重リング構造である可能性を示唆するといいます。

研究グループが国立天文台の設備を使用してシミュレーションを行った結果、直径およそ300kmの天体が秒速20kmでガニメデに衝突したと仮定すれば、多重リング構造の形成を説明できることが示されたといいます。このような多重リング構造は木星の別の衛星カリストのヴァルハラ・クレーター(多重リング構造の最大直径3800km)にも残されているものの、今回ガニメデで見つかった多重リング構造は最大直径1万5600kmに達する巨大なものであり、研究グループではこれまでに太陽系で見つかった衝突クレーターとしては最大規模だとしています。なお、衝突が起きたのは今から40億年以上前だったと考えられています。

上はガニメデの南緯20度・西経180度を中心とした正距方位図法で示されたファロウの分布状況(黄色)。下は上図の範囲とは反対側の分布状況を示したもの(Credit: NASA / Hirata et al.)

ガニメデの内部は氷・岩石・鉄が分化した層状の構造を成していると考えられているいっぽう、ガニメデと同程度のサイズがあるカリストの内部は分化していないとみられています。研究グループは、内部が分化するには大量の熱が必要とされることに触れた上で、今回見つかった巨大なクレーターを残した衝突がエネルギー源になったことで、ガニメデの内部が分化した可能性に言及しています。

また、2022年に打ち上げが予定されている木星氷衛星探査計画「JUICE」の探査機によってガニメデの観測が行われることで、多重リング構造の解明が進み、木星の衛星の起源についての理解が深まることにも研究グループは期待を寄せています。

 

関連:木星の衛星ガニメデの北極域、探査機ジュノーが赤外線で初撮影

Image Credit: 加藤恒彦、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
Source: 神戸大学 / 国立天文台
文/松村武宏

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