木星の衛星「エウロパ」(Credit: NASA/JPL-Caltech/SETI Institute)

 

厚さ数kmの氷の地殻の下に大量の液体の水(海)があると考えられている木星の衛星エウロパでは、地殻の割れ目から水が噴出しているとみられており、幾つかの証拠も示されています。今回、NASAの木星探査機「ガリレオ」によって得られた観測データを調べた結果、ガリレオが2000年にエウロパの水噴出に遭遇していた可能性が指摘されています。

■観測された高エネルギー陽子の減少に水噴出が関与していたか

Hans Huybrighs氏(ESA:欧州宇宙機関)らの研究チームは、2000年にガリレオが取得した観測データを再解析したところ、エウロパで水が噴出していることを示す新たな証拠が得られたとする研究成果を発表しました。

今から20年前の2000年、木星を周回探査していたガリレオがエウロパに接近したところ、木星の強力な磁場のなかで通常は豊富に検出される高エネルギー陽子が減少する様子を観測しました。過去の研究では、エウロパそのものによって高エネルギー陽子がさえぎられたために、ガリレオの観測装置で検出される量が減少したものと理解されていたといいます。

Huybrighs氏らが当時の観測データをもとに詳細なシミュレーションを行ったところ、エウロパからの水噴出にともなう周辺環境の変化を考慮した場合にのみ、高エネルギー陽子の検出量が減少する結果が得られたといいます。研究チームでは、高エネルギー陽子がエウロパからの噴出物や希薄な大気を構成する物質に衝突したことで電子を得て非荷電粒子化し、結果として高エネルギー陽子の検出量が少なくなったものと考えています。

研究者たちは、ガリレオによる周回探査が行われていた当時からエウロパでは水が噴出している可能性が高いと考えており、この10年ほどの間に水の噴出を示唆する証拠が見つかり始めています。2016年には「ハッブル」宇宙望遠鏡によってエウロパから噴出する水らしきものが撮影されている他に、同年にはハワイのW.M.ケック天文台にある「ケック望遠鏡」も噴出した水分子が発したとみられる赤外線を捉えることに成功しています。

研究チームでは、2022年に探査機が打ち上げられる予定の木星氷衛星探査計画「JUICE」に期待を寄せています。ESAが主導し宇宙航空研究開発機構(JAXA)やNASAなどが参加するJUICEでは、エウロパ、ガニメデ、カリストの地下にあるかもしれない海の探査や、噴出した物質の採取を通して地下の海の組成を調べることなどが予定されています。

ハッブルによって撮影されたエウロパの水噴出とみられる現象(矢印)を示した合成画像(Credit: NASA/ESA/W. Sparks (STScI)/USGS Astrogeology Science Center)

 

関連:エウロパから噴出した水蒸気、地上から初観測。地球外生命の可能性に近づく

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SETI Institute
Source: ESA / MPS
文/松村武宏

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