2017年10月に発見された観測史上初の恒星間天体「オウムアムア(’Oumuamua)」。その形は細長く、彗星のようにガスなどを放出する活動は観測されなかったにもかかわらず速度がわずかに変化していたことなどから、地球外生命体の探査機や宇宙船ではないかという説が現れるほどに注目を集めました。今回、オウムアムアのこうした特徴を自然物としてうまく説明できるとした研究成果が発表されています。

■破壊された母天体の破片が細長く再集積して形成された可能性

恒星間天体「オウムアムア」を描いた想像図(Credit: ESO/M. Kornmesser)

Yun Zhang氏(中国科学院国家天文台)とDouglas N. C. Lin氏(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)は、今回の研究において、オウムアムアが恒星の潮汐力によって破壊された天体から形成された可能性を指摘しています。

小さな天体が大きな天体に接近すると、潮汐力によって破壊される(潮汐破壊)ことがあります。たとえば1994年に木星へ衝突した「シューメーカー・レヴィ第9彗星」は前年に発見された時点ですでに複数の核に分裂していましたが、これは彗星が木星の潮汐力によって破壊されたあとの姿だったと考えられています。

両氏によると、オウムアムアの元になった天体(母天体)は彗星のような軌道を描きつつ主星(恒星)に接近し、その潮汐力によって破壊されながら主星を離れていったとみられます。シミュレーションの結果、破壊された母天体の破片は引き離されるように細長く分布しながら再集積するため、長短の比率が10:1に達するようなオウムアムアに似た細長い形状の天体が複数形成され、星間空間へと放出され得ることが示されました。

破壊された母天体から細長い天体が幾つも形成される様子を示したイメージ図。母天体とそこから生じた破片は点線で示された軌道に沿って、左から右上へと移動していく(Credit: NAOC/Y. Zhang)

また、母天体は恒星である主星の近くで破壊されるため、その破片に含まれる揮発性物質は主星の熱によってほとんどが失われることとなり、再集積してできた天体は揮発性物質に乏しい乾いたものになることもわかったといいます。これはオウムアムアに彗星のような目立つ活動が観測されなかった事実とも一致します。ただしZhang氏によると、再集積してできた天体の内部に揮発性物質が残される可能性もあり、彗星活動が観測されなかったオウムアムアのわずかな速度変化は内部に残されていた水の氷が太陽熱で温められて噴出したことで生じたと両氏は考えています。

Zhang氏は今回の研究成果について、オウムアムアという1つの天体の特徴だけでなく、膨大な数に上るとされる恒星間天体が形成される過程についても説明できるものだとしています。

 

Image Credit: ESO/M. Kornmesser
Source: UCSC / NAOC
文/松村武宏

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