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ハッブル宇宙望遠鏡が20年以上にわたって観測 渦巻銀河「NGC 3370」

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「NGC 3370」。

しし座の方向、約9000万光年先にあります。

明るい中心部を取り囲む青色の渦巻腕(渦状腕)のあちこちでは、ひときわ青い光を放つ星団が輝いています。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「NGC 3370」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess, K. Noll)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「NGC 3370」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess, K. Noll)】

ESA=ヨーロッパ宇宙機関によると、NGC 3370はハッブル宇宙望遠鏡によって20年以上にわたって継続的に観測されてきました。その理由は2つありますが、どちらも宇宙における距離の測定と関係があります。

1つは、セファイド変光星の存在です。周期的に明るさが増減するセファイド変光星は、変光周期と真の明るさの間に関係があることが知られています。変光周期が長いものほど真の明るさが明るいというもので、「周期-光度関係」と呼ばれています。

変光周期の長さをもとに求めた真の明るさと、実際に観測された見かけの明るさを比較することで、セファイド変光星が存在する銀河までの距離を知ることができるのです。

もう1つは、Ia型超新星が発生した銀河であることです。Ia型超新星は、白色矮星に伴星からガスが流れ込んだり、ペアを組む白色矮星どうしが合体したりすることで、白色矮星の質量が「チャンドラセカール限界」と呼ばれる一定の値(太陽の約1.4倍)に達した時に発生すると考えられています。

Ia型超新星は真の明るさがほぼ一定だと考えられていることから、実際に観測された見かけの明るさと比較することで、やはり銀河までの距離を知ることができます。NGC 3370では1994年11月にIa型超新星「SN 1994ae」が発見されました。

真の明るさをもとに距離を測定できる天体や現象は、「標準光源」と呼ばれています。セファイド変光星は比較的近くの銀河までの距離測定に用いられますが、Ia型超新星は遠い銀河までの距離を測定することも可能です。

その両方を利用できるNGC 3370のような銀河には、遠方の距離測定が得意なIa型超新星を用いる手法の精度を、セファイド変光星による測定結果を使って高められるという大きな特徴があります。

複数の標準光源を組み合わせて遠くの宇宙までの距離を測定する方法は、はしごをつなぎ合わせて高みを目指す様子にたとえて「宇宙の距離はしご」と呼ばれています。NGC 3370の観測データは、より確かな“はしご”を作るうえで役立っているのです。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と「広視野カメラ3(WFC3)」の観測データを使って作成されたもので、“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”としてESAから2025年10月20日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典