三菱重工業株式会社と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月30日、小惑星探査機「はやぶさ2」と、3機の小型副衛星を搭載したH-IIAロケット26号機を、2014年11月30日に、種子島宇宙センターから打ち上げると発表した。6年に及ぶ「はやぶさ2」の冒険がいよいよ始まる。

打ち上げ時刻は、13時24分48秒に設定されている。打ち上げができるタイミングは、この時間きっかりの、わずか「1秒」しかない。何らかの事情で打ち上げを延期する場合は、すぐに翌日以降の延期となることが決まってしまう。このための予備期間として12月1日から12月9日までが確保されており、この場合打ち上げ時刻は打ち上げ日毎に再設定される。

この「はやぶさ2」の打ち上げで使用されるH-IIAは、固体ロケットブースター(SRB-A)を2基持つH-IIA 202、あるいは標準型と呼ばれる構成で、また衛星フェアリングは4S型と呼ばれる、4mの直径を持つフェアリングが装備される。

ロケットは打ち上げ後、SRB-Aや衛星フェアリング、燃焼の終わった第1段を次々分離しつつ飛行を続ける。そして2度に分けた第2段エンジンの燃焼の後、打ち上げから1時間47分15秒後に「はやぶさ2」を分離する。

またその後も第2段は飛行を続け、小型副衛星「しんえん2」、ARTSAT2-DESPATCH(アートサット・ツー・デスパッチ)、そしてPROCYON(プロキオン)の3機の小型副衛星をそれぞれ軌道に投入する。最後のPROCYONが分離されるのは打ち上げから2時間2分15秒後の予定だ。

H-IIAが衛星を太陽を回る軌道へ投入するのは、2010年5月21日の「あかつき」とIKAROS、小型副衛星5基を載せた、17号機の打ち上げ以来のこととなる。

「はやぶさ2」は、多くの困難を乗り越えて小惑星「イトカワ」からサンプルを持ち帰った「はやぶさ」の後継機にあたる。先代の教訓から、先代よりもトラブルに強く、そしてより多くの成果を持ち帰られるよう、多くの改良が施されている。

また、「はやぶさ」に搭載されていた小型ローバーのミネルヴァも、その後継機のミネルヴァIIが2機(ローバーの数は3機)搭載される。さらに、ドイツ航空宇宙センター(DLR)が中心となり、フランス国立宇宙研究センター(CNES)とJAXAで共同開発された小型着陸機MASCOT(マスコット)も搭載され、これらは「はやぶさ2」から放出され、小惑星への着陸、探査に挑む。

「はやぶさ2」が目指す小惑星「1999 JU3」は、岩のようだったイトカワとは異なり、炭素や水を含む小惑星だ。「はやぶさ2」がサンプルを持ち帰ることで、太陽系の起源とその進化といった歴史や、また生命がどのように誕生したかといった謎を解き明かすカギなることが期待されている。

「はやぶさ2」は現在、種子島宇宙センターに輸送され、打ち上げに向けた準備が進められている。打ち上げ後は、まず約1年後に地球スイング・バイを実施して加速し、2018年の6、7月頃に1999 JU3に到着する。そこで探査活動を行い、2019年11、12月頃に帰路に就く。地球への帰還は、打ち上げから約6年後の2020年11、12月頃になる予定だ。

また三菱重工とJAXAでは現在、10月7日の打ち上げを目指して、「ひまわり8号」を搭載したH-IIA 25号機の準備も鋭意進められている。「ひまわり8号」の打ち上げ後は、2ヶ月足らずで「はやぶさ2」を打ち上げることになるため、関係者は忙しい毎日を過ごすことになりそうだ。

 

■JAXA | H-IIAロケット26号機による小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)の打上げについて
http://www.jaxa.jp/press/2014/09/20140930_h2af26_j.html