ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は13日、デジタルグローブ社の地球観測衛星ワールドビュー3を搭載した、アトラスV 401ロケットの打ち上げに成功した。ワールドビュー3は分解能31cmという、商用の地球観測衛星では世界でもっとも進んだ性能を持つ。

ロケットは太平洋夏時間2014年8月13日11時30分(日本時間2014年8月14日3時30分)、米国カリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ空軍基地のSLC-3Eを離昇した。ロケットは順調に飛行し、約20分後に衛星を分離した。

ワールドビュー3は米国のデジタルグローブ社によって運用される衛星で、ボール・エアロスペース社によって製造された。打ち上げ時の質量は2,800kg、高度617km、軌道傾斜角97度の太陽同期軌道で運用される。設計寿命は最低でも7.25年とされる。

ワールドビュー3はパンクロマティック(白黒)で0.31m、マルチスペクトル(カラー)で1.24mの分解能を持つ電子光学センサーを装備し、商用地球観測衛星として世界最高の性能を誇る。先代のワールドビュー2と比べると、赤外線での撮影機能が追加されている他は、基本的には同型機だ。だが、ワールドビュー2のパンクロマティックで0.5m、マルチスペクトルで1.8mと比べ能力が向上しているのは、単に運用される高度が低く、つまり「被写体に近い」ためだ(ワールドビュー2は高度770km)。

また従来、米政府は民間に販売できる衛星写真の分解能を最高で0.5mまでに制限していたが、今年6月にパンクロマティックで0.25m、マルチスペクトルで1.00mまで緩和されることとなった。つまりワールドビュー3の撮影するデータは、すべて購入可能ということだ。

今回の打ち上げにより、デジタルグローブ社はアイコノス(IKONOS)、クイックバード、ジオアイ1、、ワールドビュー1、2、3の6機を擁することとなった。また現在、地上にはワールドビュー4(ジオアイ2から改称)が待機しており、2016年ごろに打ち上げられる予定だ。ワールドビュー4は分解能0.34mだが、前述の規制緩和を受け、高度を下げることで0.25mまで向上させる計画を持っている。

アトラスVはロッキード・マーティン社によって開発されたロケットで、ボーイング社のデルタIVロケットと共に、ロッキード・マーティン社とボーイング社の共同出資で設立されたULA社によって運用されている。

今回の打ち上げに使われたのはアトラスV 401と呼ばれる構成で、これはフェアリングの直径が5m、固体ロケットブースターは装備せず、セントール上段にRL10エンジンが1基、ということを示している。アトラスV全体を通しての打ち上げ回数は今回で48機目となり、2007年に一度予定より低い軌道に衛星を投入してしまった以外は、安定した成功を続けている。また今回の打ち上げは、2009年11月23日以来となる商業打ち上げでもあった。

アトラスVの第1段には、ロシアのNPOエネルゴマシュ社が製造したRD-180エンジンが使われており、このエンジンを巡っては米国の国内、またロシア側からも、その使用や輸出に関して揉めている状況が続いている。ロシアのロゴージン副首相は、軍事衛星の打ち上げにロシア製エンジンの使用を禁止することも匂わせており、今後軍事衛星の打ち上げに、アトラスVが使えなくなる可能性があることから、現在米国製の代替エンジンを開発する動きが始まっている。

 

■Lockheed Martin Commercial Launch Services to Launch WorldView-3 aboard ULA Atlas V - United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/atlas-v-to-launch-worldview-3.aspx?title=Lockheed+Martin+Commercial+Launch+Services+to+Launch+WorldView-3+Aboard+ULA+Atlas+V&Category=News