
アメリカの民間企業Intuitive Machines(インテュイティブ・マシーンズ)の月着陸ミッション「IM-2」の月着陸機「Athena」が、早ければアメリカの現地時間で2025年2月26日にも打ち上げられる予定です。Athenaには同社の小型機「Grace」の他に、NASA=アメリカ航空宇宙局のペイロード、アメリカや日本の民間企業が開発した小型探査車、月面用4G/LTEネットワークの通信システムなどが搭載されています。
Athenaとは
AthenaはIntuitive Machinesが開発した「Nova-C(ノバC)」クラスの月着陸機のひとつです。同社によると、Nova-Cは全高4.73m・重量2120kgで、最大130kgのペイロードを搭載して月面に着陸することができます。
同クラス最初の機体「Odysseus」による「IM-1」ミッションは1年前の2024年2月にSpaceX(スペースX)の「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットで打ち上げが行われ、Odysseusは月の南極近くにあるマラパートA・クレーター(Malapert A、直径約33km)に横転しながらも軟着陸することに成功しました。
- 米民間企業インテュイティブ・マシーンズの月着陸船「Nova-C」が月面に着陸(2024年2月23日)
- 米民間企業の月着陸船「Nova-C」月面着陸に成功するも横転した状態か(2024年2月26日)
- 米民間企業の月着陸船「Nova-C」月面で撮影された新たな画像公開 着陸時の詳細も判明(2024年2月29日)
- 米民間企業の月着陸船「Nova-C」活動終了へ 夜を越せる可能性に期待(2024年3月4日)
Athenaはアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターから2025年2月26日以降数日間にFalcon 9ロケットで打ち上げられる予定です。なお、同じロケットには相乗りする形でNASAの小型月周回衛星「Lunar Trailblazer」など3つの宇宙機も搭載されています。


IM-2のペイロードは
今回のAthenaによるIM-2はIntuitive Machinesにとって2回目の月着陸ミッションで、着陸目標地点は月の南極付近です。機体にはNASAの「PRIME-1(Polar Resources Ice Mining Experiment-1)」ミッションのドリルと質量分析計が搭載されており、着陸地点直下のサンプルを採取して分析が行われます。
Athenaには月面に展開される複数の小型機や探査車も搭載されています。Intuitive Machinesの「Grace」はヒドラジンスラスターの推力を利用して月面を跳躍(ホッピング)するように飛行しながら移動できる小型機で、最大10kgのペイロードを搭載して最大25km移動することが可能とされており、Athenaの着陸後に月面へ展開されます。
この他にもアメリカの民間企業Lunar Outpost(ルナー・アウトポスト)の小型探査車「MAPP(Mobile Autonomous Prospecting Platform)」、日本の民間企業ダイモンの小型探査車「YAOKI(ヤオキ)」が搭載されており、展開後に着陸地点周辺の月面でそれぞれの活動が行われる予定です。
また、IM-2ミッションでは月面向け通信システム「LSCS(Lunar Surface Communication System)」のテストも行われます。フィンランドの通信機器大手Nokia(ノキア)の傘下にあるベル研究所が開発したLSCSは月面で4G/LTEネットワークを提供する通信システムで、IM-2ではAthenaが基地局の役割を担い、GraceやMAPPとの間で通信が行われます。
- ノキア、2023年後半に月の南極域で4Gネットワークを試験的に展開予定(2023年4月2日)
- Intuitive Machines、「IM-2」の着陸地点を最終決定 日本の月探査ローバーも搭載(2024年8月6日)
【▲ NASAの「PRIME-1」ミッションの解説動画(英語)】
(Credit: NASA)

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
Source
- Intuitive Machines - IM-2
- NASA - NASA Sets Coverage for Intuitive Machines’ Next Commercial Moon Launch
文・編集/sorae編集部