国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング中だったプログレスM-21M補給船が23日、搭載している新型のランデブー・ドッキング・システムの試験のため、ISSから分離し、単独飛行に入った。

プログレスM-21Mは2014年4月23日17時57分(日本時間、以下同)、ドッキングしていたISSのズヴェズダ(ズヴィズダー)・モジュールから出港した。現在は単独飛行をしており、2日後の25日21時16分に、新型のランデブー・ドッキング・システムを使い、再度ISSにドッキングする予定だ。

この新型システムはクールスNAと呼ばれ、自動でISSにランデブーとドッキングを行うためのものだ。現在、プログレス補給船やソユーズ宇宙船にはクールス、もしくはクールスAと呼ばれるシステムが使われているがこれは、合計6基ものアンテナを使い、かつ展開を必要とするアンテナが多く、またウクライナ製の部品を使用していることが短所であった。

そこで2003年から、アンテナの数を減らし、可動部分と消費電力を少なくし、かつ完全にロシア製にしたクールスNAの開発が始まった。クールスNAでは、クールスAで使われている6基のアンテナのうち、4基が1基のアンテナに置き換えられた。

クールスNAは2012年に打ち上げられたプログレスM-15M補給船で初めて搭載され、ISSへのランデブー・ドッキングで試験が行われたが、最終的にはドッキングに成功したものの、途中でシステムが落ちるなどの不具合に見舞われた。

プログレスM-21Mは2度目のクールスNAの試験となり、またプログレスM-15Mでは予備としてクールスAも搭載されていたが、プログレスM-21Mでは初めてクールスNAのみの搭載となった。しかしISSに50mまで接近したところで不具合が発生、結局バックアップとして搭載しているTORUと呼ばれる手動のシステムを使い、ISSに滞在しているオレッグ・コトフ宇宙飛行士の操縦によってドッキングを果たした。後にソフトウェアに問題があったことが分かった。

クールスNAは、数年以内に登場する予定の次世代の、プログレスMS補給船とソユーズMS宇宙船で制式採用される予定で、ウクライナとの関係が悪化した中で、クールスNAはロシアにとってなんとしてでも、ものにしなければならない技術だ。ウクライナの技術を排除したロシアの宇宙技術がどの程度のものか、また問題にどう対応できるか、今回の再ドッキングの試験でその成否が問われる。

 

■Расстыковка ТГК «Прогресс М-21М» с МКС прошла штатно
http://www.federalspace.ru/20479/

Last Updated on 2022/11/29