中国国家航天局は13日、玉兎号が月の夜を乗り越え、目覚めたと発表した。玉兎号は1月25日に機械的な問題が発生、解決しないまま極寒の月の夜を迎えてしまい、「凍死」したかもしれないとさえ言われていた。

この発表に先立つこと12日の夜、中国新聞社は「失われた月探査車」との見出しで、「(玉兎号は)月曜日に活動再開する予定だったが、復旧しなかった」と短く報じ、フランス通信社(AFP)など西側メディアはこれを受けて、「玉兎号の死亡宣告がなされた」と報じていた。

しかし13日午前になり、中国国営の新華社通信が「玉兎号は不具合を乗り越え、目覚めた」と突如として報じ、西側メディアは急遽見出しを変えるか、新たな記事を公開する必要に迫られた。

新華社通信によれば、玉兎号は以前から言われていたように、問題を抱えたまま月の夜を迎えたという。関係者も夜を乗り越えるのは難しいのではないかと考えていたが、玉兎号からの信号が受信でき、生きていることが確認できたという。以前発生した機械的な問題への対処は必要ではあるものの、完全に復旧できる可能性もあるようだ。これは嫦娥三号に関わっている人物が明かしたものだ。

また、宇宙空間を飛び交う電波を傍受しているアマチュア団体UHF Satcomは、玉兎号と地球との通信の傍受に成功、玉兎号の状態はともかく、通信ができるほどには回復していることが証明された。同団体は先日、嫦娥三号の着陸機と地球との通信の傍受にも成功している。

そして今日、中国国家航天局は、2月12日の午後に玉兎号が目覚めたと発表、状態に故障の原因を分析中であるとしている。

玉兎号は中国の月探査ミッション「嫦娥三号」に搭載されていた月探査車(ローバー)で、12月2日に打ち上げられ、14日に月の「雨の海」に到着、その約7時間後に着陸機から発進した。玉兎号は6輪の車輪を持ち、月面を走行し、気になった場所の地質や地下構造を探ることを目的としている。月にローバーが送り込まれるのは、1973年の1973年のルノホート2以来、実に40年ぶりのことであった。

月面に降り立った後、観測機器に電源が入り、ロボット・アームも起動。本格的な走行も始まり、新華社通信によれば現在までに100mほど移動しているという。その後、月に夜が訪れるのに伴い、12月26日からスリープ・モード(休止状態)に入り、月の夜が終わる約2週間後の今年1月11日にスリープ・モードから復帰、16日には月の土の調査を初めて実施している。

しかし2度目の月の夜を迎える直前の1月25日、中国の新華社通信は「玉兎号に機械的な制御異常が発生した」と報道、その後復旧したとも、あるいはしなかったとも、情報は一切提供されないまま、玉兎号のいる場所は夜を迎えた。月はおおよそ2週間ごとに昼と夜が訪れ、昼の温度は120度、夜は-180度にもなる。そのため月面の探査機とってはこの夜を越える技術(越夜技術)が必要となる。

玉兎号に起きた問題についてはまだ明らかにされていないが、この月の夜を越えるのに必要な仕組みが壊れたのではと言われており、中国内外の宇宙ファンが、その安否を見守っていた。

 

■嫦娥三号探测器第三月昼成功唤醒
http://www.cnsa.gov.cn/n1081/n7529/n308608/617383.html