アメリカ航空宇宙局(NASA)とオービタル・サイエンシズ社は9月6日、月探査機LADEEを搭載したミノタウロスVロケットを打ち上げた。LADEEは月周辺の環境の観測する探査機。LADEEは今後飛行を続け、10月6日に月に到着する予定だ。
LADEEを搭載したミノタウロスVは、アメリカ東部夏時間9月6日23時27分(日本時間9月7日12時27分)、アメリカ・バージニア州のワロップス島内にある中部大西洋地域宇宙港(MARS)の0B発射台から離昇、全5段からなる各段を次々に分離しつつ順調に飛行し、約23分後にLADEEを予定通りの軌道に投入、打ち上げは成功した。
LADEEはNASAのエイムズ研究センターによって主導されるミッションで、探査機の設計、開発、製造、試験も同センターが実施した。LADEEとはLunar Atmosphere and Dust Environment Explorerの略で、ラディと発音される。LADEEは月の表面に存在するごくごく僅かな大気の構成や変化、また表面上にある塵の構成を観測し、月を理解するとともに、将来の月探査機の運用に役立つことが期待されている。
今後LADEEは徐々に月へと近付いていき、10月6日に月に到着。月の赤道上、高度50km前後の軌道を約100日間に渡って周回、観測を実施する予定となっている。打ち上げ時の質量は383kg。ミッション期間は約160日が予定されている。
ミノタウロスVは、オービタル・サイエンシズ社によって開発され、運用されるロケットで、第1段から第3段にアメリカの大陸間弾道ミサイル(ICBM)のピースキーパーを転用したものが用いられており、低いコストでの開発と運用を可能としている。
ミノタウロスVは、4段式ロケットとしてすでに運用に入っているミノタウロスIV+から派生したロケットで、その第4段の上にスター37FM、もしくはスター37FMVと呼ばれる第5段を搭載し、惑星間軌道への打ち上げに特化させた機体である。スター37FMとスター37FMVの違いは姿勢制御方法で、前者はロケット全体を回転させるスピン安定方式を、後者は内部のリアクション・ホィールを回転させる三軸姿勢制御方式を用いている。今回の打ち上げに使われたのは前者である。
ミノタウロスVの打ち上げは今回が初めてであった。
■NASA's LADEE Mission | NASA
http://www.nasa.gov/mission_pages/ladee/main/index.html#.Uir1rD-58Qo