ゲーム開発者のジョン・D・カーマック氏が立ち上げた宇宙ベンチャー企業アルマジロ・エアロスペース社が、資金難によって活動休止に追い込まれているという。
これは先日開催された、カーマック氏のゲーム会社idソフトウェアと、ベセスダ・ソフトワークスとが共同で主催するイベント、クエイクコン2013(QuakeCon 2013)の中でカーマック氏自身が明かしたもので、彼は冬眠状態(hibernation mode)と表現し活動が止まっていることを認め、また新しい投資家を探しているとも明かした。
同社は2000年に設立され、民間による宇宙飛行を競ったアンサリXプライズや、月着陸機の開発を競ったノースロップ・グラマン月着陸機チャレンジなどに参戦、また弾道飛行での宇宙旅行を行う宇宙船や、観測ロケットの開発を行っていた。しかし今年1月に観測ロケットのスティグB(名前は英国BBCの人気番組『Top Gear』の覆面ドライバーにちなむ)の3回目の打ち上げを実施したが、パラシュートを使った機体の回収に失敗、それ以降、同社は表立った活動をしていなかった。
カーマック氏はスティグBや他の機体の開発についても触れ、自身がゲーム開発で手一杯でロケットの開発には十分に関われなかったこと、また同社が有志によるボランティアベースでの開発を行っていたころは、全員が仕事を終わらせるために集中したものの、正式に技術者を雇うようになって以来それが失われ開発の速度が落ちた、と語っている。
また、アメリカ航空宇宙局(NASA)と共同で仕事をするようになってからは、無駄に新しく、高級な技術を使いたがるようになり、それがさらに開発の速度を遅らせる原因になったと語っている。彼は「ここ最近のNASAがやらかした間違いと同じことです。自分の会社が同じ轍を踏む様を見るのは、とても辛いものです」と吐露した。
■Armadillo Aerospace Suspends Vehicle Development Work | SpaceNews.com
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