広告
広告

NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年10月12日付で、火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」の総走行距離が、地球以外の天体の表面を走った車両として史上最長になったと発表しました。記録更新を大きく支えたのは、探査車自身が進路を判断する自律走行の能力だといいます。

オポチュニティの総走行距離を上回る

NASAによると、2021年2月にジェゼロ・クレーターへ着陸したPerseveranceの総走行距離は2026年10月11日に45.22kmに達し、同じくNASAが運用していた火星探査車「Opportunity(オポチュニティ)」が2004~2018年に記録した45.16kmを上回りました。

オポチュニティが15年近くかけて走った距離を、Perseveranceは約5年半で超えたことになります。

2026年5月12日付で公開された火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」のセルフィー。ロボットアームのカメラで撮影した61枚の画像を使って作成されている(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)
【▲ 2026年5月12日付で公開された火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」のセルフィー。ロボットアームのカメラで撮影した61枚の画像を使って作成されている(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

探査車自身が道を選ぶ自律走行

地球と火星の通信には時間がかかるため、探査車をリアルタイムで操縦することはできません。そこで活躍するのが自律航法システムです。

Perseveranceは走りながら地形を撮影して周辺の3Dマップを作成し、危険箇所を把握することで、地球の運用チームが選んだ中継地点の間のルートを自ら決めています。NASAによれば、Perseveranceは総走行距離の90%以上を自律航法システムで地形を評価しながら走ってきたといいます。

地球では失われた時代の地形へ

NASAは長距離を走行することで多様な地質を素早く調査できる点を重視しており、総走行距離の更新という今回の記録はあくまでも“おまけ”と捉えています。

5年半にわたる旅路を振り返ると、Perseveranceはバイオシグネチャー(生命存在の兆候)を含む可能性がある岩石「Cheyava Falls(チェヤバ・フォールズ)」など、様々な岩石を発見・採取してきました。

【▲ 火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」の走行ルートを紹介する動画(英語)(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

今回の記録更新時にPerseveranceが走っていたのは、ジェゼロ・クレーターの西側の縁の外に広がる「Lac de Charmes(ラック・ド・シャルム)」です。この場所は、太陽系でこれまで探査された地形としては最も古い部類の可能性があるといいます。

次の調査地点でPerseveranceの科学チームは、地下で熱せられた水が岩石の割れ目などを循環していた太古の熱水系を探します。NASAによると、クレーターの縁では、かつて火星にも存在していたとみられる湖や川とはまったく異なるタイプの生息環境として、熱水系の痕跡が見つかるかもしれないといいます。

なお、NASAが承認したPerseverance初の延長ミッションは2026年10月に始まり、クレーターの縁の探査は2028年末ごろまで続く予定です。地球では侵食やプレート運動によってほぼ失われた約40億年前という非常に古い時代の岩石を調べる旅は、火星に生命を育める環境があったのかという問いに新たな手がかりをもたらすと期待されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

関連記事

参考文献・出典