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近畿大学・エクセディ共同開発のX線カメラ「SUIM」が完成 2026年にISSで超高層大気を観測へ

近畿大学と株式会社エクセディは、共同開発を進めてきた超高層大気専用X線カメラ「SUIM(スイム)」が完成し、アメリカのAegis Aerospace社への引き渡しが完了したことを発表しました。(※近畿大学は1月21日、エクセディは同23日に発表)

SUIMは2026年中に打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)の船外プラットフォーム「STP-H10」に搭載され、約6か月間の観測ミッションを行う予定です。

超高層大気専用X線カメラ「SUIM」のミッションロゴ(Credit: 近畿大学)
【▲ 超高層大気専用X線カメラ「SUIM」のミッションロゴ(Credit: 近畿大学)】

観測の空白地帯「超高層大気」に挑む

地球大気のうち高度60〜110kmの領域は「中間圏・下部熱圏(MLT)」と呼ばれ、航空機が飛べる高度より高く人工衛星が安定周回できる高度より低いため、直接観測が非常に困難な領域です。しかしこの超高層大気は気候変動の影響を敏感に受けるほか、人工衛星の軌道変化や再突入時の落下点予測にも関わる重要な領域であり、宇宙利用が拡大する中でその理解が求められています。

SUIMは宇宙空間から地球へ降り注ぐ「宇宙X線背景放射(CXB)」を利用します。ISSから地球の縁(地平線方向)を観測し、大気を透過してきたCXBのスペクトルを分析することで、高度60〜150kmの大気密度を測定する仕組みです。検出器には近畿大学、宮崎大学、京都大学などが共同開発したX線イメージセンサー「SOIPIX」を搭載しており、今回が初の宇宙実証となります。

超高層大気専用X線カメラ「SUIM」の実機(Credit: 近畿大学/エクセディ)
【▲ 超高層大気専用X線カメラ「SUIM」の実機(Credit: 近畿大学/エクセディ)】

自動車部品メーカーの精密技術が宇宙へ

SUIMの中核部品を手がけたのは、駆動系部品で世界的シェアを持つエクセディです。同社が金型部品加工で培ったミクロン単位の精密加工技術により、宇宙環境に耐える高剛性筐体と、観測性能を左右する高指向性X線コリメーターが実現しました。

「SUIM」という名称は「Soipix for observing Upper atmosphere as ISS experiment Mission」の略称で、超高層大気が発する「翠色」の大気光に由来しています。さらに近畿大学がクロマグロ完全養殖で知られることから、宇宙を「泳ぐ(swim)」ように活躍してほしいという願いも込められています。

約6か月の運用後、SUIMは地球へ回収予定。宇宙環境での性能評価データは、次世代X線観測機器の開発にも活かされます。

 

文・編集/sorae編集部

参考文献・出典