
NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年3月26日付で、航空機大手Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)の「Cygnus(シグナス)」補給船によるISS=国際宇宙ステーションへの補給ミッション「NG-22」の中止を発表しました。海外メディアのSpaceNewsなどが報じています。
機体の一部が打ち上げ前に損傷 物資の振り分けや今後のミッション前倒しなどの影響も
それによると、中止の理由はNG-22のCygnus補給船で使用されるはずだった与圧貨物モジュール(内部に物資を搭載する筒状の構造物)が供給元からNorthrop Grummanへの輸送中に損傷したためだとされています。SpaceNewsによると、NG-22はもともと2025年2月に打ち上げられる予定でしたが、航空電子機器の問題で同年6月に延期されていました。

ISSへの補給ミッションでは食料・水・日用品・補修部品・実験機器・超小型衛星といった様々な物資が補給船に積み込まれます。NG-22が中止されたため、アメリカ企業SpaceX(スペースX)の「Cargo Dragon」補給船による次の補給ミッション「SpX-32」では研究用の物資の一部が食料などクルー向けの物資やISSのハードウェアに置き換えられる見込みです。
また、Cygnus補給船による次のミッション「NG-23」も実施が早められる模様です。SpaceNewsはNASAやNorthrop Grumman関係者のコメントとして、早ければ2025年秋に打ち上げられると伝えています。1機で4トン近くの物資を輸送できるCygnus補給船の打ち上げ中止の影響はしばらく続くことになりそうです。
なお、現在ISSへの補給ミッションを行っているのは前述のCygnus補給船とCargo Dragon補給船の他に、ロシアの「Progress(プログレス)」補給船があります。アメリカ企業Sierra Space(シエラ・スペース)も有翼・再使用式の補給船「Dream Chaser(ドリームチェイサー)」の開発を進めているものの、遅延が続いており初飛行には至っていません。日本では新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」の開発が大詰めを迎えていて、初号機は2025年度中に打ち上げられる予定です。
文・編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- SpaceNews - Cygnus mission to ISS scrapped after finding spacecraft damage