宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年1月18日、月を周回している小型月着陸実証機「SLIM」の近月点(軌道上で月に最も近付く点)を降下させるための1回目のマヌーバ(姿勢や軌道の制御)が予定通り実施されたことを報道機関向けに発表しました。SLIMの月着陸は日本時間2024年1月20日0時20分頃に予定されています。【最終更新:2024年1月19日12時台】
月面へのピンポイント着陸技術を実証するために開発されたSLIMは、JAXAのX線分光撮像衛星「XRISM」とともに「H-IIA」ロケット47号機に相乗りする形で、2023年9月7日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げから約1か月後の2023年10月4日には地球を公転する月の重力を利用して軌道を変更する月スイングバイを実施しています。
それから2か月半後の日本時間2023年12月25日16時51分、SLIMは月の北極と南極の上空を通過する高度約600km×約4000km、周期約6.4時間の極軌道に投入されました。2024年1月10日にはSLIMを着陸降下準備フェーズへ移行させることが決定。日本時間2024年1月14日17時32分に遠月点(軌道上で月から最も遠ざかる点)を低下させるためのマヌーバが実施され、SLIMは高度約600kmの円軌道に投入されていました。
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JAXAによると、月着陸前に2回行われる近月点降下マヌーバのうち1回目(PDM1)が日本時間2024年1月17日22時18分に実施され、SLIMは高度約600×150kmの楕円軌道に入りました。日本時間2024年1月19日23時頃までには2回目のマヌーバ(PDM2)が実施され、近月点は高度15kmまで低下する予定です。着陸降下開始は日本時間2024年1月20日0時0分頃、月着陸目標日時は日本時間2024年1月20日0時20分頃とされています。
神酒(みき)の海付近にあるシオリ・クレーター(Shioli、直径約300m)近くの斜面が着陸目標地点となっているSLIMは、着陸後に「マルチバンド分光カメラ(MBC)」による岩石の組成測定を行います。また、着陸直前に分離された小型の探査ロボット「LEV-1」および「LEV-2(愛称:SORA-Q)」による画像取得などが行われることになっています。SLIMについて詳しくは以下の関連記事もご覧下さい。
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なお、JAXAはSLIMの月着陸運用と記者会見の様子をYouTubeの公式チャンネルにて日本時間2024年1月19日23時からライブ配信する予定です(URL: https://www.youtube.com/watch?v=Udh6kvjZYC8)。日本初、世界でも5か国目の月着陸成功となるか、注目の月着陸運用は今夜です!
【▲ 小型月着陸実証機SLIM ピンポイント月着陸ライブ・記者会見(JAXA公式チャンネル、日本時間2024年1月19日23時から)】
※2024年1月19日12時42分更新:誤っていた近月点の説明を訂正しました。
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文/sorae編集部