中国は、現地時間9月13日、「長征7A」ロケットの打ち上げに成功しました。同ロケットに搭載されていたのは通信・データ中継衛星「中星1E」で、中国の宇宙開発を進める中国航天科技集団有限公司(CASC)によると、衛星は予定の軌道へ投入され、打ち上げは成功したということです。
長征7Aロケットは、北京時間2022年9月13日午後9時18分、中国南部にある文昌衛星発射センターから打ち上げられました。衛星は、静止トランスファ軌道(GTO)へ投入されたとみられます。
長征7Aロケットは中国運載火箭研究院(CALT)が開発した、全長約60m・重量約570t・推力727tのロケットです。推進剤にはケロシンと液体酸素を用いており、ロケットの側面には4本のブースターが装着されています。ロケット先端にあるフェアリングは、直径3.7mと4.2mの2タイプが用意されており、今回の打ち上げでは4.2mのタイプが使用されました。CASCは、衛星の大型化に伴い、さらに大きな直径5.2mのフェアリングを開発する予定があることも示唆しました。
長征7Aロケットは、「新一代」と呼ばれるロケットのひとつです。新一代とは、従来中国で打ち上げられてきた長征2/3/4ロケットの後継機として開発された、長征5/長征6/長征7/長征8/長征11ロケットを指します。今後は従来型の長征ロケットから、新一代への置き換えが進められていくと考えられます。
長征7Aロケットは、2020年3月に実施された初打ち上げには失敗したものの、1年後の2021年3月に実施された2回目の打ち上げは成功し、同年12月に実施された3回目の打ち上げにも成功しています。
通信・データ中継衛星「中星1E」は、中国空間技術研究院(CAST)により開発されました。CASCは、「ユーザーに高品質な音声やデータ、テレビラジオなどの送信業務を提供予定」とだけ発表しており、衛星の詳細は公表されていません。一部のメディアでは、軍事衛星とする見方も出ています。
中星1Eの前機種である「中星1D」衛星は、2021年11月に西昌衛星発射センターから「長征3B」ロケットで打ち上げられました。CASCによると、中星1E衛星が長征7Aロケットで打ち上げられたのは、中星1D衛星で使用されている衛星バスよりも大型で、重量もより重いためであるとのことです。また、長征3BロケットはGTOに5.5tのペイロードしか運搬できませんが、長征7Aロケットは7tのペイロードを運搬することができます。このような理由から、中星1E衛星は長征7Aロケットにより打ち上げられたということです。
今回の打ち上げは、長征ロケットシリーズ437回目の打ち上げとなりました。
参考記事
・中国、通信衛星「中星2E」の打ち上げ成功 長征6号の打ち上げから30時間でロケット発射へ
・中国の「長征7A」ロケット打ち上げ成功 「試験12号」01と02を搭載
Source
- Image credit: CASC
- CASC - 海南传捷报!长七A成功发射中星1E
- CALT - 成功!长七A火箭发射中星1E卫星
- CAST (Weibo) - 我为“你”乘风破浪,“你”是我的彼岸——中星1E卫星研制与发射成功侧记
- SPACE NEWS - China launches Zhongxing-1E military communications satellite
文/sorae編集部