バイコヌール宇宙基地における多目的実験モジュール「ナウカ」への「欧州ロボットアーム」取り付け作業の様子(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)

【▲ バイコヌール宇宙基地における多目的実験モジュール「ナウカ」への「欧州ロボットアーム」取り付け作業の様子(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)】

ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスは5月20日、今年7月の打ち上げに向けて準備が進められている国際宇宙ステーション(ISS)の多目的実験モジュール「ナウカ(Nauka)」に、欧州で開発された「欧州ロボットアーム(ERA:European Robotic Arm)」が取り付けられた際の様子を公開しました。

現在ISSではモジュールの組み立てや補給船のキャプチャなどに用いられる「カナダアーム2(SSRMS)」や、船外への実験装置の設置や超小型衛星の放出などに用いられる日本実験棟(JEM)「きぼう」のロボットアーム(JEMRMS)が運用されていますが、これらはいずれも日米欧のモジュールで構成されるアメリカ側の区画で運用されています。

取り付け作業中の欧州ロボットアーム(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)

【▲ 取り付け作業中の欧州ロボットアーム(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)】

いっぽう、ナウカに取り付けられた欧州ロボットアームはISSのロシア区画で運用するために開発されました。欧州ロボットアームの全長は11.3mで、関節の数は7つ(3つの関節を備えた「手首」が2つと中間の「肘」が1つ、7自由度)。欧州宇宙機関(ESA)によると、最大8トンの実験装置などを5ミリメートルの位置決め精度で扱えるといいます。

ナウカとともに欧州ロボットアームが追加されることで、ISSのロシア区画でも船外活動をせずに小型エアロックから実験装置等を取り出して船外に設置したり、船外活動を行う宇宙飛行士の移動をサポートしたりできるようになります。アームは船内からだけでなく、船外活動中の宇宙飛行士が操作することも可能です。

運用中の欧州ロボットアームを描いた図(Credit: ESA - D.Ducros)

【▲ 運用中の欧州ロボットアームを描いた図(Credit: ESA – D.Ducros)】

欧州ロボットアームの開発と製造はしばらく前に完了していて、2010年5月にはアームの予備品がロシア区画の小型研究モジュール1(MRM-1)「ラスヴェット」の外面に設置される形でISSへ運ばれています。ナウカの度重なるスケジュール遅延にともなって欧州ロボットアームの打ち上げも遅れていましたが、ISSで活躍する日も近いことを実感します。

なお、ラスヴェットの外面には軌道上でナウカに取り付けられる小型エアロックやラジエーターなども設置されており、11年前からナウカの到着を待っています。欧州ロボットアームを備えたナウカの打ち上げ2021年7月15日が予定されています。

小型研究モジュール1「ラスヴェット」(中央上)にドッキング中の「ソユーズMS-18 “ユーリ・ガガーリン”」(中央)。ラスヴェットの側面に見える白いカプセル状の部分がナウカの小型エアロック、白い板状の部分がナウカのラジエーター(Credit: NASA)

【▲ 小型研究モジュール1「ラスヴェット」(中央上)にドッキング中の「ソユーズMS-18 “ユーリ・ガガーリン”」(中央)。ラスヴェットの側面に見える白いカプセル状の部分がナウカの小型エアロック、白い板状の部分がナウカのラジエーター(Credit: NASA)】

 

関連:ISSの新しい多目的実験モジュール「ナウカ」ロシアで打ち上げ準備進む

Image Credit: Roscosmos
Source: Roscosmos / ESA
文/松村武宏

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