
(引用元:NASA)
「いないいないばあ銀河」って何?
今回紹介する画像は、明るい前景星 TYC 7215-199-1 のすぐそばから、まるで“顔を出す”ように現れた矮小銀河「HIPASS J1131-31」です。直径は約1200光年、地球から約2200万光年先に位置しています。前景の星の固有運動によって視線上の位置関係が変化し、この過去50~100年で恒星のまぶしさの陰から抜け出して観測可能になりました。
- Image Credit: NASA, ESA, and Igor Karachentsev (SAO RAS); Image Processing: Alyssa Pagan (STScI)
- NASA - Peekaboo! Tiny, Hidden Galaxy Provides a Peek into the Past
「いないいないばあ銀河」という呼び名は、こうした“前景星の陰に隠れていて最近になって見えるようになった銀河”に付けられた愛称です。HIPASS J1131-31はその代表例で、英語では “Peek-a-boo galaxy” と呼ばれています。
この銀河が注目されるのは、極めて金属の乏しい(極低金属=XMP)性質を持つからです。ここでいう「金属」は水素とヘリウムより重いすべての元素の総称です。宇宙初期には金属がほとんどなく、その後、恒星内部や超新星爆発で生成・散布され、現在の宇宙では金属が一般に増えています。
HIPASS J1131-31では、ハッブル宇宙望遠鏡が約60個の恒星を分解して解析し、いずれも数十億年以下の比較的若い星であることが示されました。さらに南アフリカ大型望遠鏡(SALT)の分光観測で低金属量が確証され、近傍宇宙で最年少級かつ化学的に未発達な銀河の一つと位置づけられています。
超遠方の初期銀河では個々の星の化学組成を詳しく調べるのが難しいのに対し、HIPASS J1131-31は地球から約2200万光年と近く、若さと極低金属という稀少な条件がそろっています。初期宇宙の化学環境を“手の届く距離”で検証できる、いわば「過去への入口」となる対象です。
※…本記事は、2022年12月6日に公表されたNASAとESA発表の「Peekaboo(HIPASS J1131–31)」の研究結果に基づいています。
編集/sorae編集部
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