(引用元:NASA)
こちらは、土星探査機「カッシーニ」が2004年11月7日に撮影した土星の北半球を捉えた画像です。青みがかって見えるのは、大気上部で青い波長の光が選択的に散乱されるためです。
- Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
- NASA - PIA06142: Nature's Canvas
土星本体を覆ういくつもの繊細な黒い線は、画像の下側に一部が写っている土星の環が落とす影です。そして、「カッシーニの間隙(空隙)」と呼ばれる、環に生じた広い空隙を通り抜けた太陽光によって、土星本体の一部が帯状に明るく照らし出されています。
よく見ると、画像の右側には半分が明るく照らされた球体が映っています。これは土星の衛星ミマスです。ミマスの直径は約396kmで、直径約11万6400kmの土星本体と比べると非常に小さな天体です。
青い土星本体や環が落とす影、そして小さな衛星ミマスを一度に捉えたこの一枚は、カッシーニが撮影した数多くの画像と同様に、土星とその環・衛星ならではの美しさを存分に感じさせてくれます。
土星探査機カッシーニとは
カッシーニ(Cassini)は、土星とその環や衛星を詳しく観測するために開発されたNASAの探査機です。全長は6.8mで、地球から遠く離れた土星を探査することから直径4mの高利得アンテナを備え、電源には放射性同位体熱電気転換器(Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG)を採用。科学機器としてカメラ、分光計、宇宙塵分析器、磁力計、レーダーなどが搭載されていました。これらの機器類に加えてカッシーニには、濃い大気を有し、生命が存在する可能性も指摘されている土星の衛星タイタンに着陸するESAの着陸機「Huygens(ホイヘンス)」も搭載されていました。
カッシーニの関連記事
- 9月15日は土星探査機「カッシーニ」のミッションが終了した日
- 土星探査機カッシーニが捉えた「重なった衛星」や14億km先の「地球と月」
- 全人類が暮らす点のような地球の姿。土星探査機カッシーニが14億km彼方から撮影
編集/sorae編集部