
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
遡ること7年前、2019年の元旦。探査機「ニュー・ホライズンズ」は、カイパーベルト内に位置している太陽系外縁天体「アロコス(Arrokoth)」のフライバイ(接近通過観測)に成功しました。日本ではまだお正月のゆったりした空気の中で、遠い太陽系の果てから届いた“新年の吉報”に胸が躍った方もいたのではないでしょうか。
今日は、その出来事をあらためて振り返ります。
- Image Credit: NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute/Roman Tkachenko
- sorae - ”じゃがいも”と呼ばれた最果ての天体「ウルティマ・トゥーレ」の正式名称が決定
アロコスは、かつて「2014 MU69」と呼ばれ、通称「ウルティマ・トゥーレ(Ultima Thule:ラテン語で“最果ての地”)」の名でも知られていた天体です。カイパーベルトとは、海王星の外側に広がる小天体の集まりで、太陽系が生まれた頃の“材料”が比較的そのまま残っている場所だと考えられています。
ニュー・ホライズンズは2015年に冥王星へフライバイを行ったのち、さらなる目的地としてカイパーベルトの深部を目指しました。冥王星よりも遠い小天体を詳しく調べることで、太陽系がどのように形づくられていったのか、その手がかりを得ようとしたのです。
日本時間2019年1月1日14時33分、ニュー・ホライズンズはアロコスから約3500kmの距離まで最接近しました。これは探査機による「史上最も遠方の天体にフライバイ」として記録されています。

最接近前後に得られた画像などから、アロコスは全長約35kmで、大小2つの塊が合体したような“雪だるま”形(接触二重天体)であることが明らかになりました。表面が赤みを帯びている点も印象的です。当時は「じゃがいも」のようだと感じた人もいたかもしれません。
重要なのは、アロコスの形状が「激しい衝突」ではなく、比較的ゆっくりとした合体で生まれた可能性を示していることです。太陽系初期の環境を読み解くうえで、貴重な手がかりとなりました。
そして、ニュー・ホライズンズは太陽系のさらに外側へ向かって、現在も航行を続けています。NASAによると2025年8月には、ミッションにおける運用体制が変更されました。この時点で探査機は地球から約92億km以上離れており、通信の電波が届くまでに片道8時間31分を要したとされています。現在は消費電力を抑えた運用を行いながら、太陽圏外縁部の荷電粒子やカイパーベルトのダスト環境などの観測を継続しており、状況次第では2026年6月下旬ごろに再び運用フェーズが切り替わる可能性も見込まれています。

編集/sorae編集部
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