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ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した複雑な形の惑星状星雲「NGC 6072」

こちらは、さそり座の方向・約3300光年先の惑星状星雲「NGC 6072」。
画像はジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ「NIRCam」で取得した観測データを使って作成されています。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ「NIRCam」で観測した惑星状星雲「NGC 6072」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI)
【▲ ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ「NIRCam」で観測した惑星状星雲「NGC 6072」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI)】

惑星状星雲とは、超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星(質量は太陽の8倍以下)が、恒星進化の最終段階で周囲に形成する天体です。

太陽のような恒星が晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。

やがて、ガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになります。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がNGC 6072の複雑な構造の理由に迫る

惑星状星雲の多くは円形か、“蝶”や“砂時計”などにたとえられる双極性の形をしています。

ところが、NIRCamで観測したNGC 6072の冷たい分子ガス(水素分子など、画像では赤色に着色)は、中心から無秩序に広がっていくような複雑な形に分布していることがわかります。

NASA=アメリカ航空宇宙局によると、NIRCamの画像には星雲の中心から複数のアウトフロー(物質の流れ)が流れ出ていることを示す多極構造が現れています。

このことは、NGC 6072の中心に少なくとも2つの星が存在しており、老いた主星とその周りを公転する伴星の相互作用によって複雑な構造が形成された可能性が高いことを意味します。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中間赤外線観測装置「MIRI」で観測した惑星状星雲「NGC 6072」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI)
【▲ ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中間赤外線観測装置「MIRI」で観測した惑星状星雲「NGC 6072」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI)】

また、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の中間赤外線観測装置「MIRI」で取得した画像には、同心円状のリング構造が現れています。

リングは主星から物質が放出され始めた頃に伴星の公転運動によって形作られたか、主星から全方向へ数千年間隔で均一に物質が放出された可能性を示していると考えられています。

星から放出されたガスや塵はやがて星間物質として星間空間に広がっていき、星形成活動で次の世代の星が生み出される時の材料となります。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測で得られたNGC 6072のデータは、恒星のライフサイクルにおいて複雑な構造の惑星状星雲がどのような役割を果たしているのかを研究する道を開いたと評価されています。

これらの画像は、NASAやESA=ヨーロッパ宇宙機関、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を運用するSTScI=宇宙望遠鏡科学研究所から2025年7月30日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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