木星の北半球で渦巻く嵐と高高度の雲、NASA探査機「ジュノー」が撮影
木星探査機「ジュノー」が2021年11月29日の近接通過時に撮影した木星北半球の嵐(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS; Image Processing: Kevin M. Gill CC BY)
【▲ 木星探査機「ジュノー」が2021年11月29日の近接通過時に撮影した木星北半球の嵐(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS; Image Processing: Kevin M. Gill CC BY)】

こちらは木星の北半球(北緯50度付近)で渦巻く。アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「Juno(ジュノー)」が高度6140kmから取得した画像を使って作成されました。2つの大きな嵐の周囲では雲が複雑に流れていて、混沌とした様相を呈しています。NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、直径が地球の約11倍という巨大な木星の雲の細部を、この画像では最小4kmまで識別できるといいます。

ジュノーは2つの嵐などの上に浮かぶ高高度の雲も数多く捉えています。これらの雲はすぐ下で渦巻く嵐に比べればとても小さく見えるものの、その一般的な幅は50kmに達するようです。嵐の渦に影を落とす高高度の雲はアンモニア水を含む水の雲で、木星大気の浅いところで雷を発生させたり、アンモニア水の雹(ひょう)を降らせることでアンモニアの循環に関わっていたりするのではないかと考えられています。

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冒頭の画像はジュノーが38回目の木星フライバイ(近接通過)を実施した日本時間2021年11月29日に可視光カメラ「JunoCam」を使って取得した画像をもとに、市民科学者のKevin M. Gillさんによって作成・公開されました。JunoCamの画像は一般の人々が利用できるように順次公開されており、これまでにも市民科学者たちの手によって数多くの画像が作成されています。

現在ジュノーは最長で2025年9月まで延長されたミッションの下で探査活動を行っており、2021年6月に実施された34回目のフライバイでは木星最大の衛星ガニメデにも接近して観測を行いました。ジュノーは2022年9月にエウロパ、2023年12月と2024年2月にはイオにも接近して観測を行う予定です。

冒頭の画像と同じ38回目の近接通過時にジュノーが撮影した木星の南半球(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS; Image Processing: Kevin M. Gill CC BY)
【▲ 冒頭の画像と同じ38回目の近接通過時にジュノーが撮影した木星の南半球(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS; Image Processing: Kevin M. Gill CC BY)】

 

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Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS
Image Processing: Kevin M. Gill CC BY
Source: NASA/JPL / APOD
文/松村武宏