こちらは「ふたご座」の方向およそ1500光年先にある惑星状星雲「Sharpless 2-274(Sh2-274)」の一部を捉えた画像です。惑星状星雲は太陽のように比較的軽い恒星が赤色巨星を経て白色矮星へと進化する過程で形成されるもので、赤色巨星だった頃に周囲へ放出されたガスが中心星の放射する紫外線によって電離することで輝いています。カラフルな色合いのうち赤色は水素、水色は酸素の分布を示しています。
惑星状星雲には球形や砂時計形などいろいろな形がありますが、Sh2-274の場合は半円形の弧を描くように4光年ほどの範囲に渡ってガスが広がっています。その一部を捉えた冒頭の画像でも何本かのフィラメント状のガスがうねるように見えていますが、この蛇行するようなガスがギリシャ神話に登場する怪物の頭を連想させるとして、Sh2-274は「メデューサ星雲」の別名で呼ばれることもあります。
1955年に天文学者のGeorge Abell(ジョージ・エイベル)氏によって発見されたSh2-274は、当初は超新星残骸ではないかとも考えられていました。しかし1970年代にはガスの膨張速度が超新星残骸としては遅い秒速およそ50kmと判明したことから、惑星状星雲として認識されるようになったといいます。
冒頭の画像はヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」によって撮影されたもので、2015年5月20日にESOから公開されています。
Image Credit: ESO
Source: ESO
文/松村武宏