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太陽の活動はおよそ11年周期で変化しており、現在は2008年に始まった第24太陽活動周期から次の第25太陽活動周期へと移り変わる時期にあたるとみられています。久々に観測されたMクラスのフレアは、新たな太陽活動周期に向けた太陽活動の活発化を示しているのかもしれません。

■Mクラスのフレアが観測されたのは2017年10月以来

NASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」によって撮影された日本時間5月29日19時頃の太陽。フレアは左上の縁のあたりで発生した(Credit: Credit: NASA/SDO)

日本時間2020年5月29日(金)16時13分、太陽でMクラスのフレアが発生。その様子がNASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」によって観測されました。太陽でMクラスのフレアが観測されたのは、2017年10月以来2年7か月ぶりのこととなります。

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冒頭でも触れたように、現在の太陽は第24活動周期と第25活動周期の移行期にあたるとみられています。2つの活動周期の境目は黒点の数が極小となった時期をもとに判断されますが、ある月が極小だったかどうかを見極めるには前後半年間の数も考慮(※)しなければなりません。そのため、次の活動周期に入ったかどうかが判断できるようになるまでには、実際に活動周期が始まってから半年~1年ほどかかる場合もあるといいます。

国立天文台によると、前月の2020年4月は2月や3月に比べて黒点の出現状況がやや活発だったものの、極小だった時期が確定されるほどには増えていないといいます。そのようななかで久しぶりに観測されたMクラスのフレアは、太陽活動の活発化を告げるものとなるかもしれません。結論が出るまでにはまだしばらく時間がかかりそうですが、今回のフレアを起こした黒点をはじめ、今後の太陽活動に注目です。

なお、太陽の黒点で生じるフレアの規模はピーク時のX線強度に従って強いほうから順に「X」「M」「C」「B」「A」と定められていて、前後のクラスとは10倍の差があります(たとえばM5.0のフレアはX5.0よりも10倍弱く、C5.0よりも10倍強い)。5月29日に発生したフレアはM1.1と比較的規模が小さかったものの、1859年9月に発生して欧米の電信網に被害をもたらした通称「キャリントン・イベント」を引き起こしたフレアの規模は、X45とも推定されるほど大規模なものだったとみられています。

もしも現在の太陽でキャリントン・イベントのようなフレアが発生すれば、通信網や電力網は重大な影響を受けると予想されます。フレアが発生する仕組みを理解し、強力なフレアの発生に備える上でも、太陽の観測・研究は重要です。

※…黒点相対数の13か月移動平均値をもとに判断される

 

Image Credit: NASA/SDO
Source: NASA / 国立天文台 / NICT宇宙天気予報センター
文/松村武宏

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