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ガス惑星の外側に岩石惑星がある惑星系を116光年先で発見 カギは惑星形成のタイミング?

私たちが住む太陽系では、太陽の近くには水星から火星までの「岩石惑星」が並び、その外側には木星から海王星までの「巨大ガス惑星」や「巨大氷惑星」が並んでいます。「内側は岩石でできた惑星、外側は厚いガスの大気を持つ惑星」というこの配置は、これまで惑星形成の標準的なモデルだと考えられてきました。

しかし、ウォーリック大学のThomas Wilsonさんたち研究チームは、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の宇宙望遠鏡「Cheops(ケオプス)」で取得したデータを分析した結果、このセオリーを覆すような惑星系が確認されたとする研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Science」に掲載されています。

赤色矮星「LHS 1903」の惑星系を描いたイメージ図(Credit: ESA)
【▲ 赤色矮星「LHS 1903」の惑星系を描いたイメージ図(Credit: ESA)】

ガス惑星の外側で岩石惑星を発見

今回注目されたのは、やまねこ座の方向・約116光年先の恒星「LHS 1903」の惑星系です。LHS 1903は太陽よりも小さく温度が低い赤色矮星(M型星)です(太陽と比べて半径と質量はどちらも約0.5倍、表面温度は約3400℃)。

LHS 1903では4つの太陽系外惑星が見つかりました。最も内側の「LHS 1903 b」(地球と比べて半径は約1.4倍・質量は約3.3倍)は岩石惑星、その外側を公転する2つの惑星「LHS 1903 c」(地球と比べて半径は約2.0倍・質量は約4.6倍)と「LHS 1903 d」(地球と比べて半径は約2.5倍・質量は約6.0倍)はガス惑星とみられています。

ここまではセオリー通りの並びですが、問題は最も外側を公転する「LHS 1903 e」(地球と比べて半径は約1.7倍・質量は約5.8倍)です。Cheopsの観測で見つかったLHS 1903 eのデータを詳しく分析した研究チームは、この惑星が岩石惑星だと結論付けました。

つまり、LHS 1903の惑星系では内側から「岩石惑星・ガス惑星・ガス惑星・岩石惑星」の順で惑星が並んでいることになります。LHS 1903 eの発見は、従来の惑星形成理論に疑問を投げかけるものとなりました。

一斉にではなく内側から順番に形成された?

惑星が形成されるのは、若い星を取り囲むガスと塵(ダスト)の集まりである原始惑星系円盤の中です。星から遠い場所は温度が低く、氷やガスが集まりやすくて巨大なガス惑星が形成されますが、星に近い場所は温度が高く、塵が集積した岩石惑星が形成されると考えられています。

では、どうしてLHS 1903の惑星系では、ガス惑星の外側に岩石惑星が存在するのでしょうか。シミュレーションの結果、巨大衝突で大気が失われた可能性や、形成後に惑星の軌道が変化して順番が入れ替わった可能性は否定されました。

研究チームが最も有力なシナリオとして挙げているのは、「インサイド・アウト(inside-out)」と呼ばれる形成モデルです。インサイド・アウトモデルでは、円盤の中で惑星が一斉に誕生・成長するのではなく、星に近い内側から外側へと順番に形成されていくと考えます。

このモデルに従うと、最初に形成されるのはLHS 1903 bです。この惑星は主星であるLHS 1903に近いので、厚いガスの大気を持たない岩石惑星として誕生します。

次に形成されるのは、その外側を公転するLHS 1903 cとLHS 1903 dです。この2つの惑星は主星から離れていたので、周囲からガスを獲得してガス惑星になります。

最後に形成されるのは、一番外側を公転するLHS 1903 eです。この惑星もガス惑星になり得たかもしれませんが、この頃にはすでに円盤からガスの成分が失われていた可能性があり、十分なガスを獲得できなかった岩石のコア(核)だけが惑星として誕生したのではないか……というわけです。

Cheopsがもたらした今回の発見は、太陽系を基準に構築されてきた従来の惑星形成理論が、あらゆる惑星系に当てはまるとは限らないことを改めて示唆するものだと言えそうです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典