こちらは、太陽系外惑星「PSR J2322-2650 b」の想像図。
ちょうこくしつ座の方向、約2000光年先にあります。質量は少なくとも木星の約0.8倍と推定されています。

PSR J2322-2650 bの特徴のひとつは、パルサー「PSR J2322-2650」を公転していること。これまでに約6000個見つかっている太陽系外惑星のうち、パルサーを公転する惑星はごくわずかです。
パルサーは高速で自転する中性子星の一種で、自転にともなう規則正しいパルス状の電磁波が観測される天体です。
主星であるパルサーから約0.01天文単位=約150万km(地球から太陽までの距離の約1%)しか離れていない軌道を、PSR J2322-2650 bは約7.7時間という短時間で1周しています。
そのため、この惑星は昼側が約1800℃、夜側でも約640℃と推定されるほど大気が加熱されていることに加えて、パルサーの強力な潮汐力によってレモンのような形にゆがんでいると考えられています。
非常に豊富な炭素が起源の謎を投げかける
今回、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の「近赤外線分光器(NIRSpec)」を使用してPSR J2322-2650 bの観測を実施したシカゴ大学のMichael Zhangさんを筆頭とする研究チームが、この惑星の大気に関する新たな研究成果を発表しました。
研究チームによると、ヘリウムを主成分とするPSR J2322-2650 bの大気からは、太陽系外惑星で一般的に予想される水・メタン・二酸化炭素といった分子のかわりに、二原子炭素(C2)や三炭素(C3)が検出されました。
これらの分子は反応性が高く、他の原子と結びつきやすいことで知られています。そのため、PSR J2322-2650 bのような高温の大気でも豊富に存在できるのは、炭素と結びつきやすい他の原子がほとんど存在しない場合に限られるといいます。

パルサーを含む中性子星は、大質量星の超新星爆発にともなって誕生するとされています。したがって、パルサーの周りで見つかる惑星質量の天体は、超新星爆発を生き延びたか、爆発後に形成されたかのどちらかのはずです。
そんなパルサーを公転する惑星のなかでも、PSR J2322-2650 bは起源についての大きな謎を投げかけています。
Zhangさんは、通常の惑星と同じように形成されたにしては組成がまったく異なる上に、酸素や窒素の存在比を考慮すると、パルサーになった恒星と連星をなしていた伴星の外層が剥ぎ取られて形成されたとも考えにくい点に言及。炭素が非常に豊富なPSR J2322-2650 bの組成は、すでに知られているあらゆる形成メカニズムを否定しているように思えると述べているほどです。
今後について研究チームは、同様の天体の観測を通じて、PSR J2322-2650 bが特異なケースなのか、それとも代表例なのかを判断する必要があると指摘しています。
ちなみに、研究に参加したスタンフォード大学のRoger Romaniさんが「この大気の奇妙さをもっと学ぶのが楽しみです」とコメントしているように、研究者たちはPSR J2322-2650 bの謎に挑むことを楽しみにしている様子です。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA - NASA’s Webb Observes Exoplanet Whose Composition Defies Explanation
- Zhang et al. - A Carbon-rich Atmosphere on a Windy Pulsar Planet (The Astrophysical Journal Letters)
























