中華人民共和国は11月15日、地球観測衛星「遥感衛星二十三号」を搭載した長征二号丙ロケットの打ち上げに成功した。遥感シリーズの打ち上げは、前回の10月20日の二十二号機以来、わずか1か月弱のこととなる。

中国政府や国営メディアの発表によれば、ロケットは中国標準時2014年11月15日2時53分(日本時間2014年11月15日3時53分)、山西省にある太原衛星発射センターの9号発射施設から離昇したという。ロケットは順調に飛行し、衛星を所定の軌道に投入したという。

その後、米戦略軍の宇宙監視ネットワークは、高度500km前後、傾斜角97.33度の太陽同期軌道に、現在までに7つの物体が追加されたことが確認されている。

中国政府の発表によれば、遥感衛星二十三号は地球観測(リモート・センシング)衛星で、科学試験や災害対策、農作物の管理を目的としているとされる。だが、軍事目的でも使用されていることは半ば公然の秘密となっている。

遥感と名のつく衛星には、電子光学センサーを搭載するものと、合成開口レーダー(SAR)を搭載するもの、そして3機同時に打ち上げられ、編隊で飛行して艦艇から出る電波を傍受するものの、大きく3種類があるとされている。

今回軌道に乗った物体は7つだが、遥感衛星二十三号とロケットの第2段、そのほかの5つはデブリと見られている。

また、過去に太原衛星発射センターから長征二号丙を使って打ち上げられ、かつ高度500km、傾斜角97度の軌道に乗った遥感衛星は、六号、十三号、十八号しかない。したがって、遥感衛星二十三号はこのシリーズに属する衛星であると考えられる。

このシリーズは合成開口レーダー(SAR)を搭載し、軌道上から地表を撮影することを目的としている。六号は2009年、十三号は2011年、十八号は2013年に打ち上げられている。

SAR搭載型の遥感衛星は他に、高度600km付近を周回する一号、三号、十号があるが、こちらは2010年の十号以来打ち上げられていない模様で、おそらくは六号や今回の二十三号のシリーズが後継機となっているものと思われる。

長征二号ロケットは、もともと返回式衛星(FSW)と呼ばれるフィルム回収式の偵察衛星を打ち上げる手段として、当時開発が進められていた大陸間弾道ミサイル「東風5」を基に造られた。

最初に開発された機体である長征二号は2段式のロケットで、地球低軌道に2tの打ち上げ能力を持っていた。1974年11月5日に1号機の打ち上げを試みるも離昇20秒後に爆発、失敗に終わる。原因はジャイロからの信号を伝達するケーブルに問題があったためと記録されている。

その後、改修を施した長征二号甲が登場した。長征二号甲は基本的に長征二号と同じ機体だが、長征二号の失敗の原因となったケーブル部に手が加えられている。1975年11月26日に1号機が打ち上げに成功し、FSWを軌道に乗せた。その後1978年1月26日までに全3機が打ち上げられた後、引退した。

またその後、打ち上げ能力を高めた長征二号丙が登場した。見た目は長征二号、長征二号甲と似ているが、改良により、地球低軌道への打ち上げ能力が2.4tにまで向上している。FSWなどの他、イリジウム衛星など他国の商業衛星を打ち上げるロケットとしても使われ、第3段として固体ロケットを装着した構成や、また近年は打ち上げ能力を4tまで高めた改良型も登場した。1982年9月9日に初飛行し、現在も運用されている。

 

■我国成功发射遥感卫星二十三号_要闻_新闻_中国政府网
http://www.gov.cn/xinwen/2014-11/15/content_2778921.htm