アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)は2024年5月3日(日本時間・以下同様)、アメリカの民間企業Maxar Intelligence(マクサー・インテリジェンス)の新たな地球観測衛星「WorldView Legion」2機を搭載した「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットの打ち上げに成功しました。WorldView Legionは国家安全保障・海上監視・商業利用などに用いられる衛星で、既存のMaxar衛星コンステレーションに追加配置されることで解像度30cm級の地上観測が可能となります。【最終更新:2024年5月13日12時台】
■ファルコン9の1段目機体は20回目の着陸
2機のWorldView Legionを搭載したファルコン9は、2024年5月3日にアメリカ・カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地4E発射台から打ち上げられました。Maxar Intelligenceによると、衛星は太陽光パネルの展開と信号の送受信に成功したということです。衛星は2024年春の終わり頃に地上の初撮影を行う予定です。
ファルコン9の1段目機体は今回が20回目の使用となり、発射約8分後に基地内の着陸エリアへ帰還することに成功しました。今回使用された1段目機体(シリアルナンバーB1061)は、2021年11月に実施された有人宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」によるNASA(アメリカ航空宇宙局)の有人宇宙飛行ミッション「Crew-1」の打ち上げで初飛行して以来使用されてきました。
■WorldView Regionとは
「WorldView Region」はマクサー・インテリジェンスの地球観測衛星で、全部で6機の衛星が高度450kmの太陽同期軌道または中間傾斜軌道で運用される予定です。衛星はマクサーの衛星製造部門であるMaxar Space Systems(マクサー・スペース・システムズ)により製作されました。同社によると、WorldView Regionでは同社の衛星バス「Maxar 500 Series」が初めて使用されたということです。また、搭載されている光学機器はアメリカの民間企業Raytheon(レイセオン)が開発を担当しました。
マクサー・インテリジェンスの衛星画像はアメリカの安全保障セクターでも使用されています。NRO(米国国家偵察局)は2022年5月25日、アメリカの民間企業BlackSky(ブラックスカイ)、Planet(プラネット)、Maxar(マクサー)の3社と衛星画像の提供に関する10年間の契約を締結しました。
マクサー・インテリジェンスによると、WorldView Regionが加わることで同社が構築してきた衛星コンステレーションは20分~30分ごとに地表を撮影し、同じ地点を1日あたり最大15回再訪できるようになります。解像度は30cmクラスで、1日あたり500万平方kmの範囲の画像を撮影することが可能だということです。
Source
- Maxar - First Two Worldview Legion Spacecraft Performing Well After Launch
- Maxar - Worldview Legion
- Maxar - First Two WorldView Legion Satellites Arrive at Launch Base
- Maxar - WorldView Legion’s New Telescope Packs More Punch
- Maxar - Enhancing National Security Missions with WorldView Legion
- NRO - NRO announces largest award of commercial imagery contracts
- SpaceNews - SpaceX launches Maxar’s first WorldView Legion imaging satellites
- RTX - RTX’s new generation of commercial satellite imagers lanches with Maxar’s WorldView Legion
- RESTEC - WorldView LEGION
文/出口隼詩 編集/sorae編集部