米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は15日、スペースプレーン実験機XS-1の設計を行う企業3社を選定したと発表した。
DARPAでは、これまでの使い捨て型ロケットに代わる、より迅速に、そして安く人工衛星打ち上げる手段の開発を目指し、スペースプレーンの研究を進めている。そのための実験機としてXS-1計画を立案、米国の航空宇宙企業に提案を呼び掛けていた。
選ばれたのは米国の航空宇宙大手のボーイング社とノースロップ・グラマン社、そして垂直離着陸ロケットの実験機の開発を手掛けている新興のマステン・スペース・システムズ社の3社で、これらはDARPAとの契約に基づき、XS-1の設計のフェイズI(初期設計)を行う。
またボーイング社は、Amazon.comを創設したジェフ・ベゾス氏が立ち上げた宇宙ベンチャーのブルー・オリジン社と、ノースロップ・グラマン社は民間宇宙船による宇宙観光に挑むヴァージン・ギャラクティック社と、そしてマステン・スペース・システムズ社は、やはり民間宇宙船による宇宙観光に挑むXコア社と、それぞれタッグを組む。
契約額は、ボーイング社がプレスリリースで発表したところによれば、400万ドルであるとされる。
各社の提案が具体的にどのようなものかはまだ明らかにされていないが、再使用ができるスペースプレーンに、使い捨ての第2段を搭載する形であるとされる。スペースプレーンは滑走路から離陸し、宇宙空間まで上昇。この時スペースプレーンは第一宇宙速度には達さず、サブオービタル、いわゆる弾道飛行の状態にある。そこで第2段が分離されロケットエンジンに点火、人工衛星を目標の軌道に送り込む。一方、スペースプレーンは大気圏に再突入し、滑走路に帰還。整備と推進剤の補給を行った後、また新しい第2段と衛星を搭載して飛行する。
XS-1の技術的なゴールは、10日に10回の飛行を行え、かつマッハ10以上の極超音速飛行ができ、小型衛星を地球周回軌道に送り込むことにある。
計画では、打ち上げ能力は地球低軌道へ3,000から5,000lbs(約1,361から2,268kg)で、1回の飛行あたりのコストは500万ドル(約5億円)未満を目指すという。打ち上げ能力で言えば日本のM-Vや、ロシアのロコットと同じ規模だ。
DARPAでは今後、2015年の終わりまでに、この3社の提案の中から一つを選択。その後本格的な開発を始め、2018年の打ち上げを目指すという。
■2014/07/15 Work Commences on Experimental Spaceplane (XS-1) Designs
http://www.darpa.mil/NewsEvents/Releases/2014/07/15.aspx