2月28日に打ち上げられた全球降水観測計画主衛星(GPM主衛星)は3月2日、観測機器のひとつ、マイクロ波放射計(GMI)の起動に成功した。続いて二周波降水レーダー(DPR)の起動にも成功、さらに前日の1日にはデータの中継を行うTDRSと呼ばれる衛星との接続も完了し、いよいよ観測に向けた体制が整いつつある。
米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターの発表によれば、GMIは3月2日1時過ぎ(日本時間)に電源が入れられた。また巨大な円盤のような反射器の展開にも成功した。GMIはGPM主衛星に搭載されている観測機器のひとつで、雨から放射されるマイクロ波を捉え、量や強さを観測する。ゴダード宇宙飛行センターと、民間企業のボール・エアロスペース・テクノロジーズ社によって開発された。
その後にはDPRにも電源が入れられた。DPRは2台のレーダーから構成されており、電波を発射し、雨に当たって跳ね返ってきた電波で観測する。2台のレーダーのうち1台は、Ka帯と呼ばれる高い周波数の電波を使っており、今までは測れなかった弱い雨や雪をも検出できる。こちらは宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、情報通信研究機構(NICT)によって開発された。
さらにその後、衛星に搭載されているスラスターも起動された。スラスターとは小型のロケットエンジンで、地球に落ちないように軌道高度を上げたり、衛星内の温度を適切に保つために一方向から太陽光を受け続けないように姿勢を変えたりする際に使用される。GPM主衛星には全部で12基のスラスターがあり、近いうちに5秒間の燃焼試験が行われる予定だ。
■Mission Status | Precipitation Measurement Missions
http://pmm.nasa.gov/GPM/mission-updates