宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月20日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で、新型固体燃料ロケット「イプシロン」の機体を初めて公開し、8月27日の打ち上げに向けて、打ち上げリハーサルも実施した。

イプシロンロケット試験機は11時過ぎに整備棟から運び出され、発射位置へと移動し、打ち上げ同日と同じ手順でリハーサルを実施した。

「惑星分光観測衛星(SPIRNT-A)」を載せたイプシロンロケット試験機の打ち上げは現在、8月27日13時45分から14時30分に設定されている。

イプシロンはJAXAとIHIエアロスペースが開発中の新型ロケットで、かつて「はやぶさ」の打ち上げなどで活躍したM-Vロケットの後継機に当たる。実験装置ゆえの高い打ち上げ費用を主な理由として退役したM-Vを教訓に、第1段にはH-IIAやH-IIBロケットの補助ブースターとして使われているSRB-Aを改修したものが、また、第2段と第3段にはM-Vの第3段とキックモーター(第4段)を改修したものが用いられており、すでにある部品を組み合わせることで徹底した低コスト化が図られている。

他にもH-IIAとH-IIBとの部品の共通化や、少人数で打ち上げ管制を行うなどの新機軸を取り入れており、イプシロンの打ち上げ能力はM-Vの約65%ほどだが、打ち上げ費用はM-Vの約80億円から38億円へと半額以下にまで下がっている。また、JAXAは将来的に、30億円以下にまで引き下げたいとしている。

今回の試験機で打ち上げられるのは「SPRINT-A」と呼ばれる、地球の周回軌道から太陽系の惑星を観測する宇宙望遠鏡で、金星や火星から流出している大気がなぜ、どのようにして流出しているのか、また太陽風との関係についても探る。また、木星の衛星イオの火山から噴出したガスがプラズマ化し、イオの軌道周辺に沿って木星を取り巻くように層が形成されるイオトーラスと呼ばれる現象も観測する。

日本電気が製造を担当しており、打ち上げ時の質量は約340kg。近地点高度950km、遠地点高度1150km、軌道傾斜角31度の軌道で運用され、設計寿命は約1年が予定されている。

 

■イプシロンロケット/惑星分光観測衛星(SPRINT-A)特設サイト
http://fanfun.jaxa.jp/countdown/epsilon/index.html