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NASAが「アルテミスIII」の暫定計画を発表 地球低軌道で月着陸船とのドッキングテストなど

NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年5月13日付で、アメリカが主導する有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」の次なる有人ミッション「Artemis III(アルテミスIII)」について、暫定的なミッション計画を発表しました。

月面着陸成功に向けた重要なテストミッション

NASAによると、2027年に予定されているArtemis IIIは、新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」と、民間企業が開発する月着陸船とのランデブーおよびドッキング能力を地球周回軌道上で実証するミッションです。

もともと2027年にはArtemis計画初の有人月面着陸が行われる予定でしたが、2028年予定の「Artemis IV(アルテミスIV)」ミッションに先送りし、Artemis IIIの役割を“有人月面着陸を確実に成功させる上で不可欠なテストミッション”へと変更することが、2026年2月に発表されていました。

新たな役割を与えられたArtemis IIIミッションでは、Artemis計画の有人月着陸船「HLS(有人着陸システム)」として開発が進められているSpaceX(スペースX)の「Starship(スターシップ)HLS」とBlue Origin(ブルー・オリジン)の「Blue Moon Mark 2(ブルームーン・マーク2)」のうち、どちらか1機、もしくは両方との連携が予定されており、宇宙飛行士が少なくとも1つの着陸船に実際に乗り込む可能性もあるとされています。

NASAのJeremy Parsons氏は「地球周回軌道でのミッションとはいえ、Artemis IVでの月面着陸を成功させるための重要な足がかりであり、NASAがこれまでに取り組んだ中で最も複雑なミッションの一つです」と述べています。

見直し後のArtemis(アルテミス)計画を表現したイメージイラスト。2026年4月に実施されたArtemis II(上段)は有人飛行試験として月周辺への往復飛行、2027年実施予定のArtemis III(中段)は有人月着陸船の地球低軌道でのテスト、2028年のArtemis IV以降(下段)は年1回以上のペースを目指して有人月面着陸を実施する予定であることが描かれている(Credit: NASA)
【▲ 見直し後のArtemis(アルテミス)計画を表現したイメージイラスト。2026年4月に実施されたArtemis II(上段)は有人飛行試験として月周辺への往復飛行、2027年実施予定のArtemis III(中段)は有人月着陸船の地球低軌道でのテスト、2028年のArtemis IV以降(下段)は年1回以上のペースを目指して有人月面着陸を実施する予定であることが描かれている(Credit: NASA)】

SLSは上段の代わりにスペーサーを使用

Artemis計画で過去2回実施されたミッションと同様に、Artemis IIIミッションではOrion宇宙船の打ち上げにNASAの大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」が使用されます。

NASAによると、SLSのコアステージ(1段目)で軌道に到達したOrion宇宙船は、ロケット分離後に自身のサービスモジュールに搭載されているエンジンを使って、地球を周回する円軌道に入ります。

なお、Artemis IIIではOrion宇宙船が地球周回軌道を離れないことから、SLSの上段(2段目)である「ICPS(Interim Cryogenic Propulsion Stage)」は使用されません。代わりに、ICPSを模した質量と寸法を有し、エンジンなどの推進システムを持たない「スペーサー」が取り付けられる予定で、現在NASAマーシャル宇宙飛行センターにて急ピッチで設計・製造が進められています。

Artemis IIミッションのSLSロケットの打ち上げ(Credit: NASA/Bill Ingalls)
【▲ Artemis IIミッションのSLSロケットの打ち上げ(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

生命維持システムや新型耐熱シールドの検証も

また、Artemis IIIミッションでは、53年ぶりに有人で月周辺を飛行した「Artemis II(アルテミスII)」ミッションよりも長時間にわたって、クルーがOrion宇宙船で過ごすことになります。

ミッション中には、Orion宇宙船で初となるドッキングシステムの性能テストをはじめ、生命維持システムのさらなる評価や、アップグレードされた耐熱シールドのテストも行われる予定です。

今回発表された計画は暫定的なものであり、NASAは今後数週間にわたってミッション期間や科学運用の詳細、Axiom Space(アクシオム・スペース)が開発する次世代宇宙服「AxEMU」と着陸船とのインターフェース評価といった、具体的な計画をさらに洗練させていくということです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典