
NASA=アメリカ航空宇宙局とアメリカ企業Sierra Space(シエラ・スペース)は2025年9月25日付で、Sierra Spaceが開発中のスペースプレーン(宇宙往還機)「Dream Chaser(ドリームチェイサー)」に関する契約の変更を発表しました。
ISSへの物資補給は“最低7回”から“回数指定なし”に

Dream Chaserは再利用可能な無人のスペースプレーンです。かつてNASAが運用していたスペースシャトルのように翼を備えていて、地球へ帰還する時は滑走路に着陸します。
全長は30フィート(約9m)で、最大3500ポンド(約1.5t)の貨物をISS=国際宇宙ステーションから地球へ持ち帰ることが可能。打ち上げにはUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)」の「Vulcan(バルカン、ヴァルカン)」ロケットが使用されます。
NASAはCRS-2(商業補給サービス2)の下で、Dream ChaserによるISSへの最低7回の飛行を発注。「Tenacity(テナシティ)」と命名されたDream Chaserの1号機は2024年5月にアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターへ到着しており、その時点では2024年後半に打ち上げられ、ISSへの初飛行を行うとされていました。
しかし、20年にわたるDream Chaserの開発は最終段階でも遅れが生じており、Tenacityを載せて打ち上げられるはずだったVulcanロケット2号機はダミーを搭載して2024年10月に打ち上げ。2025年8月の時点でもDream Chaserはソフトウェアや推進システムの認証を受けるための作業が行われているとされていました。
今回の発表でNASAは、Dream Chaserの初飛行はISSへの物資補給ではなくフリーフライトが最適であると判断し、2026年後半の打ち上げ実施を目標に、開発と実証飛行における最小限のサポートを行うと述べています。
これに伴い、CRS-2における契約は内容が変更されました。当初は前述の通り最低7回の飛行が予定されていましたが、NASAは決まった回数の物資補給ミッションを実施する義務は負わなくなり、フリーフライト成功後に現行の契約の枠組みの下でSierra Spaceに物資補給を発注できるとされています。つまり、Dream ChaserによるISSへの物資補給ミッションは、回数が確約されなくなったことになります。

ISSの運用は2030年で終了し、その後はアメリカ企業SpaceX(スペースX)が開発する宇宙機で軌道を離脱させることが決まっています。2026年後半にDream Chaserが初飛行に成功したとしても、運用終了までは残り3年間程度。ISSでは他の補給船も物資補給を行っていますし、ISSの運用体制が縮小される可能性もあるため、当初予定されていた回数を満たすだけの補給需要はすでになくなっている可能性が高そうです。
ただし、Dream Chaserの目的地はISSのみではなく、民間企業が構想・開発している宇宙ステーションへの飛行も想定されています。NASAも新たな宇宙船の開発には困難が待ち受けていることは理解しており、初飛行を物資補給からフリーフライトに変更してミッションの柔軟性を高めることで、ISSの運用終了後を見据えた将来の地球低軌道ミッションに向けてDream Chaserの能力を実証する狙いもあります。
ISSへの飛行が行われるかどうかは不透明ですが、既存の滑走路に着陸できる柔軟な運用が可能な再利用型のスペースプレーンとして、Dream Chaserには商業宇宙ステーションへの物資補給などで活躍する未来が待っているかもしれません。

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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