10月19日に火星に到達したものの、残念ながら着地途中に通信を断ってしまったヨーロッパとロシアの火星着陸機「スキアパレッリ」。その後の火星衛星からの観測で、スキアパレッリは火星着陸に失敗しクラッシュした可能性が高くなっています。そんな中、科学雑誌natureには「スキアパレッリのクラッシュの原因はコンピューターの故障による可能性がある」とのレポートが報告されています。
ヨーロッパとロシアによる共同火星探査プロジェクト「エクソマーズ」では、その第一弾として火星を周回する探査機「トレース・ガス・オービタ(TGO)」とスキアパレッリを投入しました。パラシュートと逆噴射用のエンジンを搭載したスキアパレッリですが、報告によればソフトウェアのバグにより「実際よりも地面に接近していると勘違いした」というのです。それにより、着陸シークエンスは正常に動作しなかった可能性があります。
今回の報告はまだ確定したものではありませんが、ソフトウェアのバグならまだ修正することができます。スキアパレッリは2020年に予定されている火星探査車(ローバー)の着陸技術の実証のために投入されたのですが、今回の失敗を参照にしてソフトウェアを改善すればその意義はあったといえるでしょう。もちろん、今回も無事に着陸できればそれがベストだったのですが……。
また、スキアパレッリは火星大気圏への突入、そしてパラシュートの展開には成功しています。しかし耐熱シールドやパラシュートの分離がどうやら早すぎたようです。それによりスラスターへの点火が遅れ、30秒間逆噴射する予定が3秒間しかできなかった…というのが、ことのあらましのようです。
なお、2020年の火星探査車はスキアパレッリと同等のソフトウェアを搭載しています。ですので今回の報告が正しければ、その内容に修正が加えられることでしょう。また火星を周回しているTGOは正常に動作しており、今回の失敗はきっとエクソマーズ計画の前進へと役立つはずです。
Image Credit: ESA
■The ExoMars spacecraft’s crash landing may have been caused by a computer glitch
http://www.theverge.com/2016/10/25/13407096/exomars-schiaparelli-lander-crash-mars-cause-software-esa
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