地球に最も近い危険な星について考えたことはありますか?

アメリカ航空宇宙局(NASA)の今日の天文写真(APOD:Astronomy Picture of the Day)で紹介された天体がその答えかもしれません。本記事では、地球からわずか1万光年の距離に位置する「りゅうこつ座イータ星(Eta Carinae)」について詳しく解説します。

地球から近い宇宙で最も危険な星:りゅうこつ座イータ星

「りゅうこつ座イータ星」の3Dモデル。動画より(Credit: APOD Videos)
【▲「りゅうこつ座イータ星」の3Dモデル。動画より(Credit: APOD Videos)】

りゅうこつ座イータ星は、地球から約1万光年の距離に位置する連星系で、太陽の約100倍の質量を持っています。この星は頻繁に増光することで知られており、1840年代にはシリウスに次ぐ明るさまで増光した後、数十年のうちにその光を失いました。これは超新星爆発ではなく、擬似的超新星によるものと考えられています。

人形星雲(Homunculus Nebula)に取り囲まれたイータ星

りゅうこつ座イータ星は、その噴出物で形成された厚く膨張した二つの耳たぶのような構造の「人形星雲(Homunculus Nebula)」に取り囲まれています。NASAは、衛星観測を通じてこの星雲の3次元構造を可視化した動画を公開しており、赤外線、可視光線、紫外線、X線でしか見えない100万度にもなる物質の最外殻まで再現されています。

りゅうこつ座イータ星が地球に及ぼす危険性

研究者によると、りゅうこつ座イータ星はあと数百万年で本格的な超新星爆発を起こす可能性があり、その際に放出されるガンマ線が地球に危険を及ぼす時限爆弾となる恐れがあります。これは、宇宙空間における高エネルギー現象であり、地球規模での影響を与える可能性があります。

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Source

  • Video Credit: NASA, CXC, April Hobart
  • APOD - Eta Car: 3D Model of the Most Dangerous Star Known

文/吉田哲郎 編集/sorae編集部