
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
こちらは、土星探査機「カッシーニ(Cassini)」が2016年7月20日に撮影した土星の大気の様子を捉えた画像です。
土星といえば、ぼんやりとした黄土色の姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際には大気中にさまざまな模様や色合いが存在し、非常に表情豊かな惑星であることが、この画像からもわかります。土星の北半球を撮影したこの画像には、複雑な渦巻き模様を描く雲の様子がはっきりと映し出されており、まるで水面に絵の具を垂らしたような美しい模様が広がっています。
この画像は、カッシーニに搭載されていた狭角カメラ(Narrow-Angle Camera, NAC)で取得したデータをもとに、市民科学者であるKevin M. Gill氏が作成したものです。各波長のデータに対して、青色(619nm)、緑色(727nm)、赤色(750nm)を割り当てた疑似カラー画像であるため、肉眼ではこのような色合いに見えるわけではありません。しかし、このような処理を施すことで、科学者たちは土星の大気構造や雲層の性質をより詳しく理解することができます。
土星探査機カッシーニとは
カッシーニ(Cassini)は、土星とその環や衛星を詳しく観測するために開発されたNASAの探査機です。全長は6.8mで、地球から遠く離れた土星を探査することから直径4mの高利得アンテナを備え、電源には放射性同位体熱電気転換器(Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG)を採用。科学機器としてカメラ、分光計、宇宙塵分析器、磁力計、レーダーなどが搭載されていました。これらの機器類に加えてカッシーニには、濃い大気を有し、生命が存在する可能性も指摘されている土星の衛星タイタンに着陸するESAの着陸機「Huygens(ホイヘンス)」も搭載されていました。
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編集/sorae編集部